(以下、MIXIの「銀河英雄伝奇」コミュ http://mixi.jp/view_community.pl?id=2951617
への書き込み内容なんだけど〜☆
 MIXIの「書き込み画面」は反応が遅すぎ(重すぎ)て、やってられないので、こっちで作業しちゃった…(^^;)…ついでに、バックアップとして?残しておこう☆)

 
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(以下、「銀河英雄伝説ごっこ」コミュ
 http://mixi.jp/view_community.pl?id=976834
「ハイネセン・ポリスのトピ」より。)

>宇宙歴 2月12日 AM7:00(アッテンボロー艦隊、イゼルローンから出港から3日前のハイネセンポリスにて)
>翌日全メディアに対してある報道がされる。
>それはレンネンカンプの拘束事件時、高等弁務官府での強襲映像、平気で帝国士官をトマホークで振り下ろす姿(血の流血階段ですね)などがFTLを使い惑星広域全体に一般市民の下にさらされたのである。
>しかも薔薇の騎士の象徴でもあるヘルメットをまとった姿も映し出され。
>帝国の士官を食べ物の如く、トマホークでふり降ろし無数の血が飛び散るその映像はまさに地獄絵図そのモノであった。(※中略※)
>そして最後にメディアはこう付け加える。
>「ヤン一党はルビンスキーと手を結んだ可能性が極めて高い。」と。
 
 
『「あざといことを」
 音高く、アッテンボローは舌打ちした。帝国が同盟を完全支配するまで満足するはずはない、とは思っていても、そこまで陰湿な手段で彼らの司令官をおとしいれられると思うと、皮膚に蟻走感が走る。
「この罠の悪辣さは、罠と知りつつしたがうより他に対応のしようがないという点にあると見るべきだろう」
 シェーンコップの言わんとするところを、アッテンボローは了解した。』(田中芳樹『銀河英雄伝説』第六巻 飛翔篇 第五章 混乱、錯乱、惑乱)
 
 
 ……そして話は、
 その数日前にさかのぼる……。
 
 
 上司の「ひととなり」については完璧にプロファイリング済みであると自負する情報将校バグダッシュ大佐は、起こりうると危惧される事態をあらかじめ予測して、異例ではあるがユリアン・ミンツとアレックス・キャゼルヌの両名に対してその場への同席を求めた。そのうちの前者は、もちまえの勘の良さで何かを察知したものか、通達された時刻よりも幾分早くに姿を見せて出席者全員に対し極上の紅茶とコーヒーとを用意したあと、保護者の隣に席を占めた。結果、なかば必然的にその反対側の椅子に、臨時の副官を務めるスーン・スール(……ズカリッター!!)が腰掛け、さらに参謀であるムライとパトリチェフをはさんで、本日の議題提起者であるところのバグダッシュ大佐本人は、「機材を操作する必要性」を装い、注意深く、問題(を起こすであろうと予測される……)上司からは極力離れた座席へと、誰も気付かぬあいだに早々の避難を決め込んだ。
 
 定刻よりやや遅れて、多忙を極める要塞事務監が謝罪を口にしながら足早に入室し、入口に近い……ヤン・ウェンリーからはいささか離れた……椅子を適当に選んだことだけがバグダッシュの予定調和からは外れたが、その隠れた理由を告げぬまま、わざわざ移動を促すわけにもいかない。出席者全員に対して手短に議題を説明しながら問題の映像をスタートさせる。事前に視聴済みの諜報部員としては、彼の上司のような性情を有する人物にわざわざその映像を直接見せることは、できうるならば避けたい所であった。しかし、見せもせずにその判断を仰ぐというわけにも、無論、いかなかったのである。
 
 ……その映像は明らかに、誰かの、何らかの明白な意図をもって加工され編集されていた。加害者は常に自由惑星同盟軍ローゼンリッター連隊の一員であり、血しぶきをふいて倒れる者は、常にその哀れな犠牲者たる誰かであった。戦斧がふるわれ、完全武装した帝国軍兵士の胴体と首とがそれぞれ別の方角に飛散し、あるいは致命傷をうけて宙を泳ぎ、分断された姿で、階段をころげおちてゆく……。
 
 ……流血の惨事を描く映像は、それだけにとどまらなかった。場面が転換し、燃えあがる炎がハイウェイの一角をオレンジ色に染める。散乱した同盟軍兵士の死体と軍用車両の破片の間を、民間の消防隊員や救急隊員が右往左往している。鳴り響くサイレンと不規則に閃くフラッシュが、見る者の不安と嫌悪をいやましに増幅し……、望遠カメラの映像が切り替わって、一街区を離れた小高い丘の上、武装した兵士の集団が死と炎の遠景を、肉眼や暗視双眼鏡を駆使して冷然と眺めやっている。中心にいるのは同盟軍将校の制服を着込んだ三人の退役士官だ。退役中将ワルター・フォン・シェーンコップ、退役中将ダスティ・アッテンボロー、退役少佐フレデリカ・グリーンヒル・ヤン……と、御丁寧にも、テロップがフルネームを表示する。

 そしてまた画面は切り替わり、自由惑星同盟評議会議長ジョアン・レベロがその公用車に乗り込み、前後を二台づつのSP車両に護衛されながら評議会ビルを出ていく。おそらくはビルの保安用カメラが捉えたとおぼしきやや不鮮明な画像が映り、その説明のテロップが流れる。暗転。SP車両の後方警戒用のカメラ画像(だとテロップで説明)に、切り替わる。
 肉薄してくる一台の車のルーフ・ウィンドウから、円筒形の奇怪な武器をかまえた軍人の上半身がはえている。火箭が走り、SPの乗っていた車が炎の塊となって路上を数回転した。同時に、それを捉えていたカメラ自体にも飛来してくる何かがあり、映像が音を立てて途切れる。
 また暗転……。
 
 葬儀の席。泣き崩れる遺族や友人たち。犠牲となったSP達の遺影と氏名が映し出され、略歴が語られる。そしてまた最初の画像に戻り、血しぶきに濡れた階段、斧をふりおろす奇怪な武者人形、床や路肩に飛び散った人体の破片、遠望される元・同盟軍の将校たちと、彼らをとりまくローゼンリッターの姿。そしてまた紅蓮に染まる画面。人体のパーツ。焔。焼死体。流血。内臓。それらが、
 
 くりかえし、くりかえし、くりかえし……
 
 そして最後に黒い画面に白い文字が、一瞬のように流れて消えた。

「ヤン一党は自由惑星同盟を裏切った。」……と。
 
 
 
「……以上です。」
 
 情報提供者が沈痛な(を装った)声で終了を告げると同時に、室内には異音と異臭が満ちた。気の弱いというわけではないが暴力沙汰にはまったく不向きな要塞艦隊司令官殿にこのように加工された「残酷映像」が耐えられるはずもなく……、胃液の逆流を我慢して直近にある洗面所まで駆け込むだけの時間的余裕さえなかったのである。むしろ、最後までよく我慢して見たものだ……と、バグダッシュ大佐は無責任に宙を仰いだ。
 やはり荒事には慣れていないはずの自由惑星同盟軍後方勤務部長席を「ふん!」の鼻息一つで吹き飛ばした男は、いささかならず冷や汗の浮いた蒼白の顔ではあるものの、自分の受けた打撃より先に後輩の身を案ずるだけの余裕はある。
 気の毒なのは、ヤン「イレギュラーズ」にはまだ来たばかりで新しい上司とは付き合いが浅く、本来の副官にしてヤン夫人でもあるフレデリカ・グリーンヒルが妊娠中毒症で緊急入院を余儀なくされた、という理由で、急遽「臨時副官」の任を押しつけられ……もとい、割り振られたばかりの、スーン・スール(ズカリッター)であった。自らの膝にまで飛ばっ散りを喰らった上司の吐瀉物の飛沫を黙然と眺めおろして、軍人の鑑たるべき「元帥」のさらした予想外の醜態に呆然とし……たまま、反応を起こせずにいる。
 
 保護者に似合わぬ(と口の悪い連中からはよくいわれる)明敏さを持つユリアン・ミンツは、その映像の意味と悪意とを把握するのとほぼ同時に、自分が異例にも同席を求められたことの真意も素早く悟り、画面に垂れ流される極彩色の悪意より、彼の保護者の刻々と褪せてゆく顔色のほうに気をとられて過ごした。長い永い、タチの悪い拷問とも思える時間が過ぎてようやく終了を告げる声が響いたとたん、床に沈みこむようにして胃液の噴流を吐きだした保護者へ、なんのためらいもなく腕をさしのべ、抱き起こして支えようととする。
 
 瞬間、ヤンの腕が跳ね上がってその手をさえぎっていた。ユリアンはそれを自分に対する拒絶の反応だと一瞬誤解した。その愕然とした表情を目の端に捉えて、ヤンは、発作的に行動を起こしてしまった自分に対し、ますます深い嫌悪の海へと沈む。
 ユリアンには何の罪もない。ただ、つい先日、自分の被保護者でありいまだ十代の未成年でさえあるこの少年を、たった今、映像として目にしただけでも自分では胃液の逆流を抑えることも出来ないような、凄惨な血まみれの、肉弾戦の現場……イゼルローン再奪取戦……へと、大雑把な命令一つで送り出した人間は、他ならぬ自分自身ではなかったか……??と。そんな残酷な指示を恨むことさえ忘れて、ただ無心にさしのべられる優しい腕を、受け取る資格は自分には無い……と、ヤン・ウェンリーという小心な男は、ただ恥じただけなのである。
 そして、不幸にも、その発作的な行為を被保護者がどう誤解して、どれほどのショックを受けたのかを、瞬時に悟ってしまう程度には、彼の頭脳は健全かつ明敏であり。しかし、即座に謝罪をすることも叶わぬほどに、彼の精神的な神経と胃壁とは、軟弱なのであった……。
 
 小一時間あまり断続的にえづいて吐き続け、かけつけた…むろん、バグダッシュがあらかじめ隣室に待機させていた…医師による安定剤の投与と急性胃潰瘍に対する処置を受け、その効果が出るまでの二時間ほどをタンクベッドで過ごし……、どす暗い血と死と後悔の泥濘から這うように起き出すと、そこには、多忙を極めるはずの要塞事務監氏と、彼によってもたらされた被保護者の姿が、すこし遠慮がちに部屋の隅にたたずんでいる。……そういう情景が、当然のように、彼を待っているのだった。
 
「……ユリアン。さっきはごめん……」
 
 魔術師、とまで呼ばれる機略の天才は、こんな大事な局面に限って、語るべき満足な語彙を持たない。しかし、それはこの場合、必要ないものでもあるのだ。困惑し、憔悴し、いろいろと後悔しきった顔の保護者の、しかし弱々しいながらも確かな、困ったような笑み……あるいは、安心とか、信頼とか、ただたんに、甘え、などとも呼ばれるかもしれないもの……のかけらを見いだして被保護者はすっかり安心し、にっこり笑い返すと、素早く身をひるがえす。
 
「着替えを取って来ますね!」
 
 そして口うるさいキャゼルヌ大先輩からも一言二言、苦笑まじりの説教とも揶揄ともつかない叱責小言をくらって、孤独な司令官はようやく、迷い込んだ昏いところから、這いずり出すことが出来るのだ……。
 
 
 
 数時間の休止を経たのちに会議の再開が伝達され、まず冒頭、もごもごと自分の失態をへたくそに詫びる上司の言葉を参加者一同いつものことだと聞き流したあと、ムライがぴしりと一言を発して無駄な時間に終止符をうつ。
 
 バグダッシュ大佐が流れをもとに戻した。
「敵さんは未だにこちらの通信網が一つきりではないということを知りませんので、情報戦においては外界を制している自分たちのほうが有利であると、そう信じているところにつけ込む余地が十分にあります。つまり、先ほどの映像が予定の日時に放送されないよう、手をうつだけの時間的余裕が我々にはまだある、ということです。……余裕と言っても、あと数時間程度の、ギリギリの残余時間ではありますが……。」
 その貴重な残り時間のうちの少なからぬ部分を無駄に費消した(という自覚はある)上司がバツの悪そうな表情を浮かべたので、バグダッシュは慌てて咳払いをし、視線を泳がせた。
 
「で、どうしますね?」

 パトリチェフが、ごく暢気な風をよそおって尋ねる。
 
「……それなんだが……。」
 
 やや迷いの残る気弱な表情で、ヤンはベレー帽を脱ぎ、いつものように髪をかきまわしてから、帽子を戻した。
 
「あえて、そのまま放映してもらおうか、とも、思うんだが……」
 
 言葉を切って、一同の反応を見回し、あまり大きな異論も反論も、意外だという驚きさえも無さそうなのを見てとって、安堵の吐息をつく。
「ただ……、できれば、その……。えぇと……」
 彼が言葉をためらいはじめると長い。それをよく知っている一同が、さっさと結論を口にするよう、無言の圧力を視線に込めた。
 
「……放送の前に、厳重に、心臓の弱い人や妊娠中の女性や、血圧に心配のある人や……えぇと、もちろん、十五歳以下の子どもにも、だな。見るのは止めるようにという注意を、あらかじめ、厳重に……」
 
「つまり、R15指定というやつですな」
 
「あぁ、そういう言い方があった……。それを、放送の前に視聴者に対して徹底的に告知するように……だね……、えぇと……」
 
 心臓が弱いわけでも血圧に不安があるわけでもなく、妊娠しているのは夫人のほうであって自らの身体には支障もなく、十五歳には有に倍する年齢を超過しているはずの、銀河に有数の軍事的知略を持つとされる男は、気弱に笑って頭をかきながら、諜報担当者を見やった。

「それだけは、徹底してもらえるかな……?」

 そして、ぽつりと呟いた。
 
「これで、ラクして時間が稼げる……♪」
 
 
 
 ……かくて、地位と謀略と権力闘争における勝利だけが世界のすべての価値観であると考えている人間たちには思いもよらぬ、微妙かつ多彩な方向で、この映像は銀河に波紋を投げかけ、化学反応を呼び……。
 
 
「旧」……もはや「旧」と呼ぶしかなくなった……同盟領の各所、各領域や職域・人脈で、さまざまな市民や軍人たちが、「もはや自由惑星同盟軍とヤン・ウェンリーは、信ずるに値しないのか……?」という一見深刻にして奇妙に無責任ともいえる自問自答と直面し、向き合い……、
 
 一人一人がそれぞれの自主独立的な思考を行い、自らの責任において意思決定を選択し、誰にも、どんな大樹にも頼らず、自分で行動を起こすしかない……という。ある意味においては民主共和制にとって理想的としか言えないような状態が、惹起されたのである……。
 
 
 
 
 
(※本文の一部を、原典の 飛翔篇 第七章 コンバットプレイ より、
 引用・流用・盗用、しました☆_(_^_)_☆)
 
(初出:2006年08月30日 06:33 MIXI
 http://mixi.jp/view_community.pl?id=976834
 旧題:《 Sacrifice ... or "The Blood-hood" 》 

■チェコ首相、北京五輪参加へ
 
【プラハ=DPA時事】チェコのトポラーネク首相は十五日、北京五輪の開会式は欠席するものの、チェコ選手団を応援するために五輪に参加することを明らかにしました。同首相はポーランドのトゥスク首相らと共に、三月のチベット自治区でのデモ弾圧に抗議して五輪開会式ボイコットを表明していました。
 
(『しんぶん赤旗』2008.07.17.)

 
 まぁ、「落としどころ」ってぇ、辺りでしょうねぇ☆
 
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