(090625未明入力)
 玄海原発
 動き出すプルサーマル ③

 金は出さんが防災やれ


 長崎県松浦市にある鷹島。佐賀県玄海町の南西、伊万里湾口に浮かぶ東西約五キロ、南北十三キロの小さな島。元寇(げんこう)の舞台であり、週末には観光客でにぎわいを見せます。釣りのポイントとしても知られ、島内各所の防波堤などには釣り人が並びます。漁業と石工業が盛んで、国内有数のトラフグの出荷量を誇り、漁業協同組合の取扱高は長崎県内一です。


 隣県は「無視」

 九州電力が、プルサーマルに使うプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を積んだ輸送船がフランスを出発したと発表した二十日後の三月二十五日、鷹島を抱える松浦市の市議会では、プルサーマル計画の安全確保を求める決議が全会一致で可決されました。決議では九電が地域住民の不安解消のため誠意ある対応をするよう国と長崎・佐賀両県に強い指導を要望しています。
 (略)「県が違うというだけで、無視されている感じがする。まさかのときどうするのかの話も、防災対策の資金の国からの手当ても何もない」
 松浦市と市議会は二〇〇六年七月、長崎県と九電に対し申し入れを行いました。求めたのは①安全性確保に関する情報の提供②トラブルによる風評被害の補償③環境モニタリングポストn設置-など。
 しかし、満足な回答もないままプルサーマルだけは進んでいきました。今年三月の決議では、「何ら情報提供がないまま、プルサーマル発電に使用するMOX燃料の輸送が行われており、申し入れを無視するものであり、誠に遺憾であります」としました。


 納得いかない

 鷹島は、原子力発電所から半径十キロに入ります。原子力安全委員会が策定した「原子力発電所等周辺の防災対策について」(防災指針)で定める原子力防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲(EPZ)です。しかし、いわゆる「原発交付金」は県をまたぐことはなく、厳しい財政事情を抱える地方公共団体が、独自の防災対策を迫られます。
「国は『金は出さんけど防災対策はやれ』という。原子力だけにやらないわけにもいかないが、防護服など特別なものも必要。納得がいかない」。市のある幹部はこう明かしました。
 (略)「やっぱり怖い。どんなものか全く分からないから。存在すら知らなかったし、よくわからないから良いも悪いもない。でも不安が先にくる」。別の漁業関係者は「漁に出ているときに事故が起きたら、島に戻れるのか、家族とはどうなるのかと心配になる。こういうときこそ話し合いをもってほしい」と語りました。

(つづく)
(「しんぶん赤旗」2009.05.26.

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