(記入@090201未明)
アイヌ復興は社会変える
アイヌモレウ(アイヌ紋様)の刺しゅう作家、小川早苗さんを札幌市内の自宅ギャラリーに訪ねました。自然の守り神への畏敬(いけい)を込めた作品に、深く魅せられました。
○…ピリカスウォプ(美しい宝物を入れる箱)と名づけられたギャラリーには、樹皮、サケの魚皮、ヒグマの毛皮などでつくった衣服が多数飾られています。小川さんが苦労して再現しました。北国の厳しい自然と調和したアイヌの長い歴史で、山、川、海からの恵みを生活の糧としてきた伝統文化の復活です。
○…アットゥシというオヒョウニレの樹皮を材料にした着物をつくるためには、まず木を育て、糸を手作りするところからはじめなければなりません。国有林などがアイヌに開放され、昔のようにそこから素材を得ることができれば、糸作り、布織りの仕事が産業として成り立ち、アイヌの伝統的衣服がより身近なものになるでしょう。アイヌの伝統食や集落の復活を果たせば、自然環境を守り、北海道のかけがえのない観光資源も生み出すこともできます。アイヌが経済的に復興し、その存在への認識が高まれば「差別も自然になくなるはず」と、小川さんは考えるのです。
○…今年はアイヌにとって特別な年になる可能性があります。初めて「先住民族」と認めた昨年の国会決議に続き、政府は夏をめどに総合的なアイヌ政策をまとめます。
小川さんは「アイヌがのびのび生きるなら、日本の社会ももっとよくなる」といいます。(竹)
(『しんぶん赤旗』2009.01.19.)