(2013.05.03.入力)
>「ゲリラお散歩」を1行も報道しないなど真実を隠すメディアへの聡美の批判は、多くの人々に共通するおもいだろう。
「ガレキ焼却反対」して「不当逮捕」された人々を犯罪者あつかいで見殺し。
「ガレキ焼却煙」の有害性、あるいは、無害だと思うのならその主張を、
「1行も報道しない」しんぶん赤旗に……
そのコトバ、そっくり返す。(==#)
逆回りのお散歩
ネットでの運動による目覚め描く
三崎亜記 著/ 集英社 1400円
『となり町戦争』で「戦争」が公共事業として役所に管理される理不尽さを突いた作者は、新作で市町村合併をめぐる市役所対反対派のネット上の「戦争」を描いている。
B町で人目を忍んだ生活を送っている聡美は、高校時代まで住んでいた隣のA市が、1年後にC町との統合をひかえていることを知る。
過去にC町民排斥の「悲しい落書き事件」が起きたA市ではC町への謝罪を徹底し、今ではC町を批判すると差別者として厳しい批判にさらされる。
統合に批判的な市民は、姿を隠してネットを舞台に反対運動を展開する。
交流サイトには4万件以上の意見が書き込まれる。真実を隠して統合を進める市役所側と、ネットで真実を拡散する市民との「戦争」だ。
市役所に電話で一斉に質問する「電話突撃」や、統合のためのイベント会場に仮面をかぶって三々五々集まる「ゲリラお散歩」など、行動も多彩だ。
だが、統合推進派による巧妙な策略のために、反対派は沈黙を強いられる。
反対派の後ろ姿に自分を重ね合わせる聡美は、何かを求め、そして拒絶する権利が自分にもあることに気付く。
「ゲリラお散歩」を1行も報道しないなど真実を隠すメディアへの聡美の批判は、多くの人々に共通するおもいだろう。
「傍観者であることは、真実と無関係であることではない。
真実を求めようとしない者は、被害者であり、加害者でもあり得ること」
をこの運動から学んだ聡美は、それまでの生活と決別する。
反対運動再建への一歩を踏み出す聡美の姿には、真実を求めて、向かい風に昂然(こうぜん)と面を上げて生きようとする者のすがすがしさがある。
(評者 松木 新 文芸評論家)
(日本共産党 http://www.jcp.or.jp/
機関紙「しんぶん赤旗」http://www.jcp.or.jp/akahata
2013.01.20.)
>「ゲリラお散歩」を1行も報道しないなど真実を隠すメディアへの聡美の批判は、多くの人々に共通するおもいだろう。
「ガレキ焼却反対」して「不当逮捕」された人々を犯罪者あつかいで見殺し。
「ガレキ焼却煙」の有害性、あるいは、無害だと思うのならその主張を、
「1行も報道しない」しんぶん赤旗に……
そのコトバ、そっくり返す。(==#)