https://www.youtube.com/watch?v=a3lYEigrrqI
Relax Music - Around The World - Africa - ONE HOUR of stressless african instrumental music

失念していたけど、今日の予定作業は「これの続き」だった…。

http://85358.diarynote.jp/201706301510338624/
『 ヤツリーダムの物語 2 』(2017年6月30日)


脳内で推敲していた文章の細部は忘れちゃったのでざくざく粗い文体になっちゃったけど、とりあえず、

書いた!(^^)!

これに入れといた!
  ↓
http://p.booklog.jp/book/115854/read
リステラス星圏史略 新資料ファイル

1-2 『ヤツリーダムの物語』 2


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(続き)(2017年11月3日)


やがて月満ちて女は子を産んだ。からだの辛いあいだは親族や近在の者が入れ替わりやってきては赤子の元気そうな様子を誉め、かがめない女に代わって四ツ足の仔にも餌をやり、泥水を替えてやっては帰っていった。

女は不自由なく歩けるようになるとやがて、まだまだ軽い乳飲み児を背負い、もうずいぶん大きくなった四ツ足をえっこらさと抱え上げて、出水のひいたもとの大河のほとりにまで運んでいってやった。

ところが四ツ足はいやがって女から離れなかった。

「えんにゃー!えんにゃー!えんにゃー…ッ!」

…褐色の四ツ足が、どうやら自分のことを実の母と思いこんでしまったらしいと気がついて、女は笑ってため息をつき、またまたえっこらさと抱え上げて家まで戻り、今度は家の前の小さい沼川に、ほいっと四ツ足をはなしてやった。

「もう盥の中では狭いだろう。ここならいつでも逢えるよ」

聞き分けたのか、四ツ足はおとなしく、少し嬉しそうに泥沼のなかへ泳ぎこんでいって、まだ短い尾でぱしゃりと水を叩いた。

それからは餌は自分で水草を摂るようになったが、朝に夕に、陽が昇れば女を起こしに来るし、陽が沈めば女におやすみの挨拶をしに来るのであった。

女はしばらく考えて、二本足の息子には双葉と名付け、四ツ足の息子には、四つ葉と名づけた。

双葉は四つ葉ほどには成長が速くなかったが、人間の子らしい速さで元気にすくすく育ち、やがてすこしでも目を離すと四つ這いでどんどん遠くへ行ってしまうようになった。

普通なら気を抜けないところだったが、なにしろ水辺に墜ちれば四つ葉がすぐに岸辺まですくい上げてくれるし、崖から落ちそうになれば四つ葉が叫んで知らせてくれるして、女はずいぶんらくをさせてもらった。

「こういうのも乳兄弟って言うのかねぇ?」

いつでも一緒の一人と一匹を微笑ましく眺めて、近在の者らは笑いあった。



やがて誰も覚えがないほどの大雨と大水が続いた。

噂では白鱗の魚人族がカとミと秘術を使い、人間の帝国を滅ぼさんと大地の水没を謀っているとのことだった。

誰もなすすべもなく沈みゆく畑を前におろおろし、流される家を後に必死で逃げた。

女たちの集落も水に呑まれた。

泣き叫びながら人間たちは渦にまかれ、泥に沈んだ。

悲鳴は天に響いた。

「……………うんにゃぎゃぎゃ、ぎゃぎゃぎゃッぎゃぎゅ~ッ…!!」

誰もそれまで聞いたことがなかったほどの大きな大きな吠え声が、四つ葉の喉から溢れた。

二度、三度と、それは天に轟いた。

「…………ぅげろーーーーーーーっぷ!」

遠くから、また反対側から、応える叫びがあがった。

物凄い速さでいくつもの小津波が近づいてきた。

津波と見えたが、それは物凄い速さで泳ぎ寄ってきた、たくさんの、たくさんの、四つ葉の仲間であった。

仲間たちは四つ葉の村の人間たちを一人残らず背に載せて、泳いで泳いで泳いで、まだ乾いていた、残りの小さな島地に載せた。

「………やっ、ちだも!」

(なんて御親切に!)

女は涙を流して感謝した。

それからは《ヤチダモ》が、四ツ足たちの新しい名前になった。

双葉と四つ葉は仲良しのまま元気に育ち、それぞれの嫁をもらって、子を産み育て、一族同士は互いに仲良しのまま、末長く栄えた。




https://www.youtube.com/watch?v=9b81mWYIyTo
1 Hour of African Folk Music Instrumental | Marimba, Kalimba, & Drums

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