https://www.youtube.com/watch?v=Yp3IoC01drc
Gothic Music Medley [Instrumental]
Gothic Music Medley [Instrumental]
「……もう少し優しく扱ってやったらどうなんです。彼女は妊娠してるんですよ」
惨めに傷つけられた娘がドアの向うに姿を消すのを見届けて、耐え切れない怒りを含む冷ややかな声でサリアが言う。鋭く冷ややかな声でサユリアが言った。
最高の技術で仕立てられた紺のスーツ、銀色に光をはじくフレームの眼鏡。ストレートに切り下げられたつややかな髪。
「それがどうしたね」
抗議された相手は傲然と微笑む。
あれしきの事で死ぬ "猫" 族ではあるまい。と、その眼が嗜虐を楽しみ語る。
彼はオフィスで5人もの "猫" を使う身分であり、精力と自信に満ちた油ぎった皮膚の下、その瞳だけが
彼はオフィスで50人もの "猫" を使う身分であり、彼個人の飼い猫であるゴールデン・キャッツ(最高級種)のサユリアならばいざ知らず、社から配給されているブルー・キャッツ(業務用品種)がどこで妊もうが流そうが、関知する気など、はなから持っていないのだ。彼がある程度の注意を払うとするならそれは彼個人の飼い猫であるゴールデン・キャッツ(最高級種)サユリアに他ならない。「新しい猫を申請しておけ。今の奴は廃棄だ」
「今の奴は廃棄だ。新しい猫を廻すよう申請しとけ」
「………わかりました。」
サユリアは、きっと唇をかんで書類の作成にかかる。B3419-925、D教育タイプ。名前さえ持たない、あわれに貧弱な体つきをしたブルー(業務用)など、G(ゴールド)-Aタイプの血統と教養を持つサユリアの、歯牙をもかけるべき相手ではない。
同じ "猫" として同族の彼女から見てさえ無能な猫で、一体どこの誰に妊まされて来たものか、やたらと選り好みの激しいエリート(猿)はもちろん、 "犬" や "馬" 族だとて喜んで相手にはしないだろうに、見当もつかない。
だがそれでもサユリアはその温和しい猫が嫌いではなかったのだ。
いつだったか枯れかけたコサージを捨ててしまおうとした時に、初めて本物の花を見たと泣きそうな笑顔で持ち帰ったのは彼女ではなかったか?
(どうか薬殺処分にだけはなりませんよう)
心の中で祈ったからとてどうできるものではない。
いかに高度な職能を請け負っていようとも、彼女とてしょせん "猫" にすぎないのである。
オーダーメードのスーツに絹のドレス、小間使い用の小猫も栄養のある豪華な食生活も、彼女が老い、飼い主が別の新しいお気に入りの美猫を見つけて来るまでの、ほんの一時の虚飾に過ぎない…
暗い気持ちの中、せめてもの思いで、B-D925の欠陥を甘く評価しようと苦労している時だった。
何の気まぐれか不意に、ブン、と耳もとで空を切る、短くうなる音がして、
…確か、競馬でスッテンテンになって、酔っ払って深夜の公園で…
…さっきから、耳元でだれかがやたら小むずかしげな話をしているらしい。
う~~~。ちっきしょ、いい気なもんだ。
こちとら二日酔いで頭われそうだってんのに、くそ。
…しっかし、ここどこだあ?たしか深夜の公園で…
オレ、たしか、タクローん家でマージャン…ありゃ。
…あれ、これ、オレの体じゃねェ~よ。
白くって、やーらかくって、これじゃ女の手足じゃねえかよ。
…ありゃ。パイオツまでついてやがる。
ゲッ!
大事なもんが、ない…!!
「…あたしたち "猫" はもともと猿・犬・馬の…」
ゴールデン・キャッツA教育タイプ:1991 "サユリア"。飼い主・ドーレン。
コメント
天皇やめたら「アキちゃん」で、いいじゃん
http:
//news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000098081.html …
同じ人間だ、どんなに装飾したって「タダの人」を一歩も超えられない
いいかげんウソの世界はやめようよ