「いつかある日に」
「いつかある日に」
…ぇぇもちろん…w(^^;)w まんまですね…☆
  ↓
https://www.youtube.com/watch?v=UkXqZM-_4Ko
銀河鉄道999 ゴダイゴ

https://www.youtube.com/watch?v=D9_Nc0ptv-M
組曲 銀河鉄道999 序曲~出発



 いつかある日に


「いつか行くんだ」

  "トレイン" …テラ(地球)系の科学者が開発したのでこの愛称のある、宙空陸水万能の可変型・多重式荷客列車。

 その軌道が地平に消えてゆく彼方を指さしては、いつもその少女は誇らかにそう告げるのだった。

 彼女の示す方角には、この星唯一のA級発着所…つまり、列車がそら(宇宙)へと跳び出す口がある。

 衛星間、惑星間、そして時に恒星間を渡る数少ないトレインは、そこで狭苦しいフェリーシップ(船)の胎内から解き放たれて、この惑星の上を一巡するのだ。

 乗って、宇宙空間に旅出つのが、この紫陽花色の髪をした、シティ(市)から一歩も出たことのない少女の、もうずい分長い間の夢であった。


     X     X     X


 ひとりの少女が廊下を急いでいる。

「ねェ。アビス! 次の時間…地球史、自習かなァ?」

 すれちがいざまに別の数人が声をかける。

「わかンない…いま確かめに行くトコ。」

 そう云いかえしてアビスはエスカレーターの上を駆け降りる。



 同じ頃。

「いかがでした? お探しの生徒は見つかりましたかしら。」

 手ずから茶の盆を運びながら、ふくよかな笑顔のこの婦人は、この街区きっての有力者、つまりは当エデュケーショナル・センターの所長である。

「お疲れでしょう? さあどうぞ。」

「あ、すみません。どうも。…疲れる、ってほどの事でもないんです。第一、これが仕事ですから。」

 応待されている青年はまだかなり若い。そう、17~8と云ったところだろうか。

 その若さで就労しているのと、スペシャリストとしての職業意識が強いところをみると、おそらくリスタルラーナ系。それもぱりぱりの都会(既開発惑星)育ちだろう。

 そう思ってみると、その暖かみのある肌色がなんとも云えず好もしい印象をあ与える。

「それでどうだったのかしら。いまして?」と所長。

「それが…」と口ごもる青年。

「D級、F級、かろうじてC級の下、って感じの子は結構いるにはいるんです。でも今回その存在が感知されているのは特A級、それもひょっとして最近じゃ少なくなってるスペシャルクラスじゃないか…って、云われてるもんですから。」

「スペシャルクラス…というと、あの有名なデレハフスタ(破壊者)レイのような、それこそ超絶的としか云いようのない能力の持ち主のことですわね」

 所長はかすかに眉をひそめる。

「確か13年前のあの訳の解らない対侵略者戦で、殆どが戦死した、と聞いていますけれど。」

「ええ。そうなんです。だから今はスペシャルクラスの能力者ってのはとても貴重な人材で。」

 …あ、れ。でも。失礼ですけどリジア・レイのジースト語での正式形容称は、シスターナ・レイズ(破壊成功者レイ)。だったと思いますけど。

 デレハフスタ、ってのはジュエリー(普通人)…失礼、これなんかも、もう古語ですけど…サイドから亜人種扱いだったゼネッタ(超能力者)の革命行為を憎んでの呼び名で…確か差別用語リストのひとつだったと…」

  "青年" は若い世代だ。

 最も混乱することなく新人類という概念を受け入れたリスタルラーナ星域の出であるということを割り引いてもなお、あの頃の世界の実相を理解するためには若すぎる。

「そうでしたわね。つい間違えて。このあたり(惑星)では、そうは呼ばない人が多いものですから。」

「……で、お願いがあるんですが。」

 青年の話は唐突に飛ぶ。

「上の学年にも検査を行わしてもらえませんか?」

「上の学年にも?!」

 所長はとまどう。

「でも上級の生徒たちは既にみな機械によるESPチェックを受けていますわ。それを今さら調べなおすというのは…」

 このせかい(惑星)の事情も考えて欲しい…そう所長は云いたいのだ。

 リスタルラーナ育ちの地球人、彼女自身に表だって新人類の存在を蔑視する気はまるでないとは云え、その歴史を通して〈ゼネッタ〉を迫害し続け、かつ彼らの能力の超常性を怖れ憎んできたジースト、旧・星間帝国人達と共にこの辺境惑星へ入植してもう10年以上になる。

 いくら星間国家連合がESP憲章を制定し、エスパーがいかに宇宙開発その他に有用な人材であるとのアピールがなされた所で、歴史と伝説に培われた人の心の小昏い部分というものは、ようよう立ち消えるものではない。

 地球人のなかにさえ、『魔女狩り』とか称してあの時以来エスパーを暗殺し続ける者がある位だというのに、ましてジースト星系人が。

 そのジースト民族が人口の3分の2を占める世界で彼女は子供たちを教育しているのである。

 ESP能力者をスペシャリストとして育成する、名高いエスプ・アション・スクールから、潜在能力の保持者を探しに人が送られて来る。

 けっこう、調査に協力しようではありませんか。将来まわりの人間に畏怖感を与えることになるような子供なら、早目にその仲間の所へやって環境に適応するすべ(術)を覚えさせた方が、その子供自身にとっても幸福だろう。

 だからこそ職員会の反対を押し切り、後のP.T.A.の抗議をも覚悟の上で、彼女は所長としてこの青年を養育センター内に立ち入らせたのだ。

 しかし。

 子供時代に発現することのなかった潜在ESPというものは、もう余程の機会がないかぎり、その後に表に出ることはないそうである。

 それならば既に子供時代から思春期の始まりへと成長しつつある生徒たちの場合、いま無理矢理に発見されさえしなければ、一生を普通の人間として平和に暮らせる望みがあるのである。

「…お断わりしたいと思います。」

 固い、冷たい声で彼女は云った。

 もとより実制裁力はないとは云え、人類史上に輝かしい足跡を残したESP憲章に反くことは100も承知の上でだ。

 それでも子供たちがかわいい。

「今夜の宿舎は私どもで用意いたしますから、明日の朝一番の便でこの惑星をお起ち下さい。列車の手配もこちらでしておきましょう。」

 急変した彼女の態度に青年はかなりのショックを受けたようで、

「…ど、どうして…」と呟くなり絶句してしまった。

((………解らないでしょうね。))

 彼女にもし息子がいたとしたらこのくらいの年頃だろうか。

 保護された環境で、知識と、理想と、「自分に自信を持ちなさい」という言葉だけを教えられ、実世界のありとあらゆる矛盾を知らず、隔離された存在になりつつあるのだということさえ。

「おひきとり下さい。来客用の宿泊施設まで御案内します。」

 立ち上がった時に軽く目の回るような感覚があるのは歳のせいだろうか。

 憐れにしおたれた青年の肩を見降ろしながら、

 …これでいいのだ。

 深い哀しみめいた感情とともに彼女はそう感じていた。

 検査をしてもし見つからなければ見つからないで、生徒たちは互いに相手の様子をうかがうようになってしまうだろう。

  "怪物" は誰か。

 それは文字通りの魔女狩り、地球も、ジーストも、かつてイヤというほどに味わってきた疑心暗鬼の地獄なのだから。

 所長と、青年と、2人が連れだって廊下へ歩み出したちょうどその時、けれどアジサイ色の髪をしたなびかせた少女が1人、駆けて来るところだったのだ。

「あー、所長センセっ♪ ね、うちのクラス、次の時間自習ですか? みんながトリプルボールの練習をやりたいって…」

 先刻アビスと呼ばれていた少女である。

 途端、所長のすぐ隣で青年が大きく動いた。

「見つけた! A級ESP!」




…あれあれあれ…(^^;)…「リズから外」のファイルに入ってたのに、

「ESP」シリーズ後日編。だった…☆

https://www.youtube.com/watch?v=CR-2bHR0DJI&index=7&list=PLLqSiyDwUx1pXe-daRkXOprk0o6O_aoR3
Vampire Hunter D OST Track 7 D no Teemu (Toojoo Suru)


コメント

霧木里守≒畑楽希有(はたら句きあり)
2017年4月6日17:54

う~わ☆(^◆^;)☆

うっかり完全に忘れてたよーな「裏設定」まで、ちゃんと現在の「転生ネタ」にリンクして整合性があってるところがコワイ…ッwww

霧木里守≒畑楽希有(はたら句きあり)
2017年4月6日17:55

(ESPネタはまだ未アップ原稿が山ほどあるので、後日まとめてやります☆)

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