「 "人類の転換期" ね… 地球やジーストには、昔からこういった能力が存在したと?」

 頭のなかでレポートにあった数値を確認しながら彼は云う。

 ソレル女史が答える。

「あくまでも仮説にすぎませんが、大規模な戦争被害による文明の後退、といった事件がリスタルラーナの歴史上にはありませんでしたから。種族としての年齢はむしろ最も若いと云えるのかも知れません」

「やれやれ…」

 一旦は勝手に手のなかに納まってきた容器が、しゅっという空気音とともにエリザヴェッタの側へ移動するのを見てしまうと、さすがに保安局長もこれが機械仕掛けによる現象ではなさそうだと、認めてみないわけには行かなくなった。

「以前から何か妙な研究を手がけているのは知っていたが…まさかこんなに不可解なシロモノだとはね、ソレル。きみもこの類の能力が…?」

「多少は。自分の属性の分析からはじまった研究でしたからね。」

「成程。」

 実験台に使われたティレイカを薄気味悪そうに眺めて、新しいものを呼びだして彼は一息ついた。

「………で? わたしに何を頼みたいって?」

「保安局の秘密部隊員としての承認を。…活動を保護して貰いたいのです」




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