https://www.youtube.com/watch?v=9X_8bFFMrYs
12 Girls Band - Journey to Silk Road, 2005 (Part 1)




 三日かぎりの入院の快気祝いをやろう、とコルディ自らに強引に食事に誘われて、ぶつぶつ言いながら珍しくビジネススーツ以外の服で氷のソレル女史は出掛けて行った後だった。

「 あら、サキ。お帰りなさい」

 留守番はエリーとケイだ。

「増築資材の発注しておいたわ。あ、と、サキの設計、少しつけ加えたんだけど」

 ケイが言う。

「あれ? 何処か見落としあったっけ?」

「べ~つに。ただ女の子の部屋にはバスルームに等身大の鏡つけて、化粧棚置いただけ」

「あなた方に任せておくと完全に実用一点張りになってしまうんですものね」

「………あはは☆」

 サキとしては笑って誤魔化すしかない。

「で、 "下" の子たちは上手くやっていて?」

「元気に合宿してるよ。レイがしばらくあっちに残るってさ。早速ESPの訓練はじめてた」

 まあ可哀想に、とエリーが同情の声をあげる。

 スパルタ式のレイの情け容赦ないしごき方は三年前、《エスパッション》に初めてやって来た頃に経験ずみだ。

「いや、あいつ小さい子供の扱いは結構うまいから…」

「え~~ウソォ!」 と、ケイ。

「ほんとだよ。わたしもジーストで初め見た時には驚いたんだけど、何ていうか近所のお兄さん、て感じになっちゃってさ」

「…お姉さん?」

「いや。お兄さん。

「………なるほど。」

 ぷくっ、とエリーが吹き出した。

「想像つくわね。じゃ、ケイ。リポートのきりがいいようならお茶にしあmしょうか。タルトが焼ける頃だわ」

「はあい ♪ 」

 ティルルルン。

 呼び出し音が鳴ってビジフォンの画面が明るくなる。

 直通の解除コードナンバーを知っている人間、レイだ。

「あれ、」

「ヘイ! 今、女史がこっちに来てるんだがね」

「え、食事しに行ったにしちゃ早すぎないか?」

「コルディ氏に四度目だかのプロポーズされて、機嫌が悪い。」

「あらま」

「何はともあれエスパッション・プロジェクト(計画)始動だぜ。OKとれたってさ。」

「…ぃやったっっ!!」

 じゃ、な。と用件だけ言うなりニヤッと親指をたてて笑って、また一方的に映像は消える。

「 よかったこと。これで動き出せるわね」

 エリーが茶器のお盆をテーブルに置いて頬笑んだ。

 エスパッション(超能力者)。勝負はこれからなのだ。







コメント

霧木里守≒畑楽希有(はたら句きあり)
2017年1月12日17:45

一応これで「完」。

あとで没原稿もサルベージの予定…(先に家事やってくる)…。

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