https://www.youtube.com/watch?v=xtLoaMfinbU
Piotr Tchaikovsky: The Nutcracker - Ballet in two acts (HD 1080p)
(※)

(承前)
…はははは…w(^◇^;)w…☆
 ↓
http://76519.diarynote.jp/?day=20070101
 『 ☆ 略 年 表 − 第 一 部 (1) 』 (@中2?) 
 2007年1月1日 連載(2周目・地球統一〜ESPA)
http://76519.diarynote.jp/?day=20070104
 『 ◎ ソレル女史・エスパッションに関する略年表  』 (@中2?) 
 2007年1月4日 連載(2周目・地球統一〜ESPA)

http://85358.diarynote.jp/?day=20160916
>「ナカノヒト」仮説、
 サキ:エルさん、
 エリー:狼さん。
 ソレル女史:私???

山椒:http://85358.diarynote.jp/201410240828575194/
たぺすとりー・めも。
2014年10月24日 リステラス星圏史略 (創作)


んで…(^^;)…☆

これの続き。いきます…☆
 ↓
http://85358.diarynote.jp/201612312332312241
「 惑星の夜明け 」。( 2016年12月31日 )





 造りつけの戸別の店舗用ダスト・シュート(ゴミ処理器)はこの十数年来というもの、動いた事がない。だから毎朝一番に数丁先の集積場…処理施設まで直結の、ガタのきかけた大型コンプレッサがある…へ、前日の生ゴミをぶらさげて往復するのが彼の日課になっていた。

 ゴミ捨てから戻ってきて皿を洗う。

 彼=ティルニーは今は泡を飛ばしながら手で皿を洗っている。昨夜の宴会で使った変型皿が大判すぎて機械にかからないのだ。

 いや、もちろん大皿用のウォッシャーも昔はちゃんとあったのだったが…

 御多分に洩れず、今では厨房の片すみで粗大ゴミとなり果てていた。

(……あれ、)

 見なれないものが視界に飛び込んできて手が停まる。

 朝の早い場末の食べ物屋では、そろそろ夜業明けや早番の労務者たちの食事時間が終わって、一段落つこうかという刻限である。

 乳白色に埃の舞う店内にようやく射しそめてきた朝陽の黄金のなかから、ふいと湧いて出るように店に歩み入って来たのは…

 サキ、である。しかし無論、ティルニーは知らない。

 彼に判ったのはそれが非常に若い、むしろ稚い、と云うにふさわしい年頃の女性であるということ。すらりとした身なりは無彩色の地味な、しかし白と淡灰のコントラストが薄暗い店のなかではかえって清楚な輝やきを見せる。

 スラムにも程近いようなこの辺りでは決して御目にかかれない、きちんと金をかけた洗練されたスタイルだ。

 そして…

 なによりも強烈だったのは、そのすっきりと背すじを伸ばした印象的な立ち姿立ち姿の印象だった。

 驕る、というのではない。

 自然ににじみ出る人間の器。…おちつき(自信)のようなもの。

 さき(将来)の望みの薄い旧市街区には若い娘の姿は少ない。まして己れに矜持を抱けるような、光を秘めた少女は。

 …そんなわけでティルニーはつい少女に心を奪われた。

 呆然と見とれたままの状態で洗った皿を頭上の棚に戻そうとし、その手先が…

 つるりと滑った。



 軽く足を組んで腰かけて、オーダー(注文)パネルに目を走らせていたサキは、不意に店内の空気が電荷を負ったように息苦しく張りつめるのを感じた。

 顔を上げるより早く、ふわっと中年の男の "感覚" が、遠くの津波めいてサキの精神の周囲に押し寄せてくる。

 …驚愕、疑念、不信、恐怖。

 カウンターの向うのその男はどうやらここの店主らしかった。

 同じ調理場の中で、やはり凍りついたように動けなくなってしまった、青年(ティルニー)が居る。

(…………! )

 店主の思念はなおも渦巻いている。

 サキはテレパシー(心話)能力は大した素質はない。その彼女に読もうと意志する間もなく波動がとび込んで来たというのは、それだけその感情の主の、ショック(動揺)の大きさを現わしていた。

 大皿は重力法則を無視して宙に浮いている。

 ティルニーの眼は死んだように虚ろだった。

(………識っていたな、彼自身は)

 自覚して、ずぅっと、隠していたのだろう。異端者であることを。

 胸の奥底に痛むような同情を覚えた。

 サキにはこれはお慣染みの情景である。手を使わずに物を動かす能力を持ってしまった者達の、必ず出会う悲劇。親しい人間がまるでゾンビ(死霊)にでも捕えられたような眼で、自分を見るのだ。…

 よみがえりかけた過去を振り払って、サキは大皿に軽く意識を加えた。思考を向けた。引力を思い出させた。

 …パリーーーーーーン!

 硬直したティルニーが為すすべもなく支えたままでいた古い、飾りつきの大皿が床の上で砕け散った。

 はっ、と、太った店主が身じろぎする。

 ティルニーの能力に干渉して危うい均衡を破った張本人サキは、すかさず立ち上がってよく通る豊かな声をかけた。

「親父さん、ここの上、宿になってるんだろ。部屋を借りたいんだけどな」

「 え、」

 呆然としたまま、店主はひきつったように僅かに客の方を向いた。

「いつまで居るかは判らないけど、十日分、一応前払いで渡しとくよ。……ほら!」

 下町の通貨の中でもっとも大きい、五千リステルの硬貨がキラリ、と青銀の光をひいて空を渡った。

「…こりゃ、毎度っ」

 相好を崩して気の良さそうな店主は鍵束に手を伸ばす。

 回転しながら輝くものに意識を引かれた 注意をそらされた瞬間、たった今の出来事は記憶の底に封じ込められていた。

 サキの心話能力はごく微弱なものである。他人の精神操作をするほどの技量はない。

 これはコインを使っての突嗟の催眠術…彼女の特技というに近かった。のひとつ…だった。

「いいよ。親父さん忙しいんだろ。ほらお客。」

 云って、店主の選び出した鍵をすいっとすくい取る。

 振り返って、ティルニーに、

「案内してくれる?」

 鮮やかに 鮮烈な印象で、ニッと薄く微笑った。



 ティルニーはと云えば、未だ蒼冷めている。

 どうやら状況がよく呑みこめていないらしい。

 …と、こっそり横目で観察してサキは思った。

 ドアをあければ壁の建築素材がむき出しの、寝て起きるだけ、といった簡素な造りの部屋である。

 機械仕掛けのようにぎくしゃくと空調やらシャワーやらの使い方を説明し始めた彼は、サキ程度に身なりのととのった少女が何を好きこのんで場末のこんな木賃宿に部屋をとるのか、疑問に感じてみる余裕もないようだった。

 サキは無頓着に荷物を寝台の上に放り投げる。

「 ………ティルニー?」

「えっ!?」

 カギ(名前)は、すでに店主の意識から盗み出してあった。

 いきなり呼ばれてキョトンとして、ようやく他人に注意を向けられる程度に心を開いた彼にめがけて、

 ヒュッ。

 顔の中央を狙ってサキの素早い手が何かを投げつけた。

「 わっ?!」

 いつの間にくすねてきたのか、厨房の卵である。

「 ?? 」

 突嗟に避ける間もなく腕をあげた、その彼の面前で、しかし薄緑色の卵はぶつかることなく静止してしまった。

「 !! 」

 一瞬の呼吸をおいて自然落下する。

 割れる! と、思った瞬間、コトンと乾いた音をたてて薄い殻の卵は床にはねかえり、ころころと二~三度バウンドしたあと、くるっと回転して止まった。

「…………あ。----」

 ティルニーはあえいだ。

 それが尋常な動き方でないことくらい、馬鹿でもわかる。

「まあ、卵でこれをやるには多少無理があるかも知れないけどさ、」

 ひょいっとサキは肩をすくめた。

「コツは解った? 落下地点に "クッション" をあてて衝撃をやわらげる。と、お皿が割れないのは運がよかった、て風に見られるからね。
 空中で停めてしまうよりはずっと巧い方法だと思うよ。」

 ……酸素の足りない金魚のようだ。

 ティルニーの顔を見て、内心くすりと笑った。

「…なんで……どうして……僕以外にも……」

 パニック。

 …人類が初めて宇宙に足跡を記してから五千年、というリスタルラーナ文明圏には、すでに神話・伝承といったものは形をとどめていない。超心理学に類する概念もない。

 それが、どうして、というのは謎だった。

 ここ数十年で多発しているゲン・ミューテーション(遺伝子突然変異)。

 リスタルラーナ各地で、実はティルニーのような人間が増えてきつつあるのだ。(彼らはお互いの存在も、自分の能力の正体も知らない。)

 一般に温和で常識的なリスタルラーノ(リスタルラーナ人類)の中にあって、特異な思考パターンと強靱な精神力を備えたミュータント(変異体)たち…

 それを、 "新人類" とか "種族の転換期" といった風に、サキの師である博士は言うけれど。

「あなた以外にもいるし、わたしだけでもないよ。」

 手をさしのべると呼ばれた仔犬さながら、床上の卵は一直線にサキの掌に吸いこまれた。

 バッグからペンを出して赤い丸印をつける。

「実のところ、わたしらはこういった仲間ばっかりで、ふね(星間船)で暮らしててね。『エスパッション』て呼んでるんだけど。
 もしあなたが、ここは居づらい場所だって考えてるんなら。
 …考えておいてよ。」

 印つきの卵が掌上からフッとかき消える。

「ついでに言うと、あのマスター(店主)はさっきの一件はすっかり忘れてて、多分二度と思い出さないだろうとは、思うけど、ね」

 灰色の片方だけの瞳が心持ち同情をこめてティルニーを見ていた。



 今頃は調理場で赤い丸印つき卵が発見されているだろう。

 サキは荷物を開けながらかすかに笑った。

 デモンストレーションとしては…

 でも少し刺激が強すぎたかなあ。

 リスタルラーナには存在しない言葉の、 "運" とか "縁" とかを信じる方のたち(性)である。

 偶然、足の向いた飯屋で仲間に出会えたこと…

 これは、どう考えても、ラッキー(幸運)。

「ふふん」

 今回の件、きっとうまくいく。

 鼻唄まじりに必要な物をふたつみっつ身につけて、どこへともなくサキは姿を消した。






(※)
ちなみに、
「サキの子ども時代の将来の夢=バレリーナ」という設定になったのは、
『くるみ割…』観たからだと思う…☆)

 ↑
ちなみに全くの余談ですが、『くるみ…』の1シーンは、
TMNが「キャロル」の劇中でそっくりパクッてますw



https://www.youtube.com/watch?v=R9fVCTDKrUU
Coppelia BB 2011

脱線したw これ観て本日終わりwww




コメント

霧木里守≒畑楽希有(はたら句きあり)
2017年1月4日20:07


59
59
06☆

霧木里守≒畑楽希有(はたら句きあり)
2017年1月5日5:15

フクイチ震度4カケル2回!★

霧木里守≒畑楽希有(はたら句きあり)
2017年1月5日9:04


cmk2wlさんがリツイート


cmk2wl ‏@cmk2wl · 2016年6月21日

仮に、かりに独裁や王政より民主主義が正しいとしても、議会制民主主義は悪でしかない。
あらゆる手段を使って骨抜きにされ、大勢を欺き、一部の人間の利益にしかならないようにできている。

頭の中で、民主主義 = 選挙 という図式になってないだろうか?

霧木里守≒畑楽希有(はたら句きあり)
2017年1月5日9:22


cmk2wlさんがリツイート
和み ‏@Nagoming · 1月3日
優性遺伝と劣性遺伝。中国語では「顕性遺伝」と「潜性遺伝」と言うらしいのだけれども、絶対にこの表現の方が語弊無くていいと思うんだけど、学術用語を教科書から変えるのは難しいのかな。

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