「いつかある日に」 (中学?)
2016年8月25日 リステラス星圏史略 (創作) コメント (1)
「いつかある日に」
「いつか自由になるんだ。」
彼女はいつもそう言って夢を語る。
「そうしたらわたしは、何物にも捕われず縛られず、ただ水のように風のように、あるがまま、流れてゆくのよ」と。
それが、彼女が大人になった時の事なのか、それとも彼女の言う『何回も何回も』生き死んで、生まれ変わった後の事なのか…?
「そうね。」
と彼女は答える。
「それがいつの事かは、わたしにもわからない。 "いつか" …。魔法の言葉よ。だけれど "いつか" は必ずやって来るんだわ。」
彼女は信じてる。だからこれは真実なのだ。
「自由になったら、それは完全な自由よ。」
彼女は口癖のように謳(うた)う。
「わたしはなににも捕われない。だれもわたしを縛る事はできない。わたしは自分以外のものを何も持ちはしないし、だれかがわたしを持つ事もないわ。…ただ、『あの人』を除いてはね。そうしてわたしは一人で、あの人を探して世界中へ旅するのよ。時も権力もお金も、世間も、なにものもわたしを止められやしないわ。なぜってわたいはその時、自由なのだから。」
「一人で淋しくはないかって? バカね。」
光の中で彼女は純粋に笑う。
「自由の代償は孤独。でも切ないのは今でも同じよ。わたしは哀しくはならないの。どんなに寒い時でも。」
「だってわたしの中には灯がともっているんですもの。わたしはあの人…わたしのただ一人の他者を探しにゆくのよ。それは、今すぐに会いたくて、切なくて、涙をこぼしてしまう日もあるけれど、時が来ればいつかはきっと巡り合えるわ。だってその人はいるから。」
「素適なのよ。自由だって事は。」
街を行く時に彼女はささやく。
「ハンドバッグ一つとスーツケースよ。自分以外にはそれだけを持って、わたしは街から街へ歩いて行くの。闇色の夜汽車から、見知らぬ町へ降りたちましょう。霧の深い道を、どこまでもただ歩きましょう。誇り高きジプシーたちと、一やを共に歌い過ごして、初夏の夕辺には、さくらんぼを籠いっぱい、買って宿まで食べましょう。」
https://www.youtube.com/watch?v=8txm3LE4DxY
BONNIE TYLER--IT’S A JUNGLE OUT THERE
https://www.youtube.com/watch?v=N1geNIqgZzU
Bonnie Tyler, To Love Somebody. HQ Audio.
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