１．創界記－四界神話－　（その３）

１．創界記－四界神話－

１－３．第３界（無窮界）（平地界）（地閉界）

四界の第三なる界は、女神マライアヌディアドライマによりはじめ無窮界と名づけられた。あらかじめ型を定められることなく、住まう者、またよりくる神々や産まれ来る界者達の望みによって、無限に広がり、また変化する成長し続けるようにとの願いによるものであった。

妹神とも呼ばれる女神マライアヌは、豊かに波うつ腰ながの緑髪に、また碧玉の瞳、バラ色の頬もつ、ほがらかに歌い躍り、また笑いころげる、よく食べる女神であった。

技芸と友愛と、またいささかのわるふざけと、盛大なる酒宴を好み、かの女神の招請にこたえてより集い、創界期に参画した神々、また仙なる獣や草木たちも、またひとしく、舞曲や遊ぎを好み、恋や友愛に心くだく者たちであった。

女神マライアヌはまた姉神リースェンの思慮深く慈愛あまねき高潔なる教えに深く帰依するものでもあった。

ために、一日、長姉界の長兄軍により滅せらるを聞き、長姉リースェンの無念の最期を知りて怒りに我を忘れ、自ら単身、闇洞界におもむき、兄神をきつくなじった。

兄神はこれを不興とし、妹神を力もて追い、さらに無窮界に全軍勢をあげて攻め入りじゅうりんし果てた。

やがて、おのが界の滅亡にひんした妹神は、全力をあげ全界を尽くしてよく抗したが、ついに万策つきて上神界センサリテヤよりの裁定をたのみ、上月神レリナルによって両界のあいだに停戦壁が築かれた。

ために第四界はその名の由来の無限性を失い、これよりのち、その残された形状により、たんに大地界とのみ呼ばれることとなった。



090329