１．創界記－四界神話－　（その２）

１．創界神話―四界神話―　その２．

１－２．第２界（地洞界）（闇洞界）

四界の二、地洞界なるボルダムガスダムを率いたのは長兄、また兄神とも呼ばれる男神グアヒギルガスグァであった。

漆黒の髪、闇黒色の双瞳、黒檀の肌もつそう身長く男神は、その性、残忍にして傲まん、にして武力と術策かけひき陥穽、権謀を愛した。

かの地洞界に棲む者たちもまた、それをよし是とする獣人たちが主であった。

男神グアヒギルはまた創界に際して別れ棲む以前より姉たる女神リースェンによこしまなる恋慕をいだき、また界土をひろげんとする望みからも、かさねて姉神に婚姻を迫ること度々であった。

姉神はこれを忌み、また地洞獣人たちらの野蛮粗暴なるを憎んで、おのが閉空界の四囲に強固なる聖壁をきずき、彼らと男神グアヒギルとの出入りを固く禁じた。

男神はきつく怒り恨んで、軍勢をひきいて閉空界へと攻めのぼり、たちまちのうちにこれをとうじんし焼き滅ぼしてしまった。

女神リースェンはまさに手ごめにされんとし、これを拒んで自ら帰天すの道をえらんだ。永き眠りの途についた。



090328