https://www.youtube.com/watch?v=nMLY3iRrP7g&index=2&list=PLRv27Ep9uTko06FDJTva7NbvSeWZe9JQw
カッコイイ 民族音楽風曲集2(ドイツ編)


◎シーンNo.1

森の小径。木の間ごしの日差し。くねった曲がり角の向こうで2人の人間が言い争っている。
真っ黒いぼうっとした影のような存在と、茂みに遮られて見える白いほっそりした脚。
白い脚の下で、小さな獣が警告するように牙を剥いて、黒い影に唸っている。

少女「何度言われようと無駄です!大体、よくも恥を知らずにそんな御話を持ち掛けられたものですわね!」

鬼王「わたしは忍耐強い方だが、それでもそう長くは続かぬぞ。おまえが心良く承知するならばよし。したが本気で否と言うならばだな。おまえの村の連中を、ひとりずつ…」

少女「…卑怯者…っ!!」

鬼王「判っておるだろうな。次の冬の、年越しの祭までの間だけは、婚礼は待ってやろう。だが、自分がこの鬼王の妃となるべき身なのだということだけは、十分にわきまえておけよ。
…人が来たようだ。わしはこれで去るぞ。」

黒い影、煙となって消える。

怒りを抑えて震えている、白い服、黄色い髪の少女の後ろ姿。足もとに草つみ籠が転がっている。

眼下に開けている村と谷。川の流れ。

青い空のもと、背後から緩やかに蹄の音が近づいて来る。

心配そうに鼻を鳴らす獣。

下の道から角を折れて、疲れた旅人姿の若者が馬に乗り登って来る。

若者「もし、そこの娘さん、少しものをお尋ねしたいのだが… この村は何という…」

風に髪をなびかせて鮮やかに振り返る少女。
一瞬、妹と面影が重なり、若者は息をのむ。

しばらくの沈黙。少女、口を開く。

少女(詠うように)「ようこそ、旅の御方。聞かせてさしあげましょう。ここは辺境、あなたが歩いて来られた街道の行きあたり。ここより先に人の辿れる道はなく、そうして、昔からこの村はこう呼びならわされていますわ。 "道の果ての村" と…。

暗示的に伸ばされる白い腕。その上を獣が駆けぬける。

背景、パンして高く聳える山並みを映し出す。

雪の峰に反射する陽光が一瞬きらめいて、宝玉のイメージに変わる。

宝玉が転がって満点の星月夜に。水面月がゆらめいて場面は "星ヶ沼" と楡の樹の遠景になる。

白い姿の少女が小さく画面を走り抜ける。

『宝玉物語』のタイトル字幕、浮かびあがる…。





※「このセリフ第一稿のほうがいい」というハルアキ君の書き込みあり。

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