(前項作業厨の続きですが、別件脱線こっちの続きw)
http://85358.diarynote.jp/201603111553281437/
オホーツク【紋別】宇宙港or
【落船山】 星船(ぶちあげ)トンネル…(^^;)…☆彡
http://amaimonoko.at-ninja.jp/h-mtdata/hoka/sanmeko/dohoku/ocipnesan.htm
山名考 落船山 (おちふねさん)
…竜童始にいさんとか、
ビルボ・バギンズとか、
歴ヲタが食いついたら、
しばらく離れそうにないネタですね…☆w(^w^;)w☆
(山中の洞窟にゴクリ(スメアゴル)が棲みついていても驚かないわ~…☆)
http://kac-yama.com/newpage686.htm
ヤブ山三山~落船山(525m)・チセネシリ山(430m)・立牛岳(630m)~
ぉお(^^;)「ヤブ漕ぎ山」!(^^)!好みだ…☆
(もう色々ごった煮で…♪)
https://www.youtube.com/watch?v=UQl8fURGSrA
Swedish Folk Music - Födelsedagsfesten
https://www.youtube.com/watch?v=zYtvaAw8AsE&ebc=ANyPxKpXy1zBCvlIuLjSiDt4Q7jFySeCojrPvw9ibarnYADjGcBV_x8yiHNLjmLD72jzBmYoMKF15dXDEtvVNflD_hHLrF38Cw
Ragnarök (Viking Music)
ざくっとしたイメージで、
マーシャはケルティックで、
マシカはノルディックで、
フェル兄様はスカンジナビアンな雰囲気…♪
https://www.youtube.com/watch?v=bYcb19aBSg4&ebc=ANyPxKrS7dzqReRF0w-44OPc7maw51rL8uHDeEbFbcR4DOR_ceCAkC_rszmj1GOIGhwHQHazJ2Oj7mX18G3HwpfaLVldKOkh7A
Vikings - Theme Song
(さらに言うなら、
マーイアラフはイングリッシュケルトで、
https://www.youtube.com/watch?v=asyvA7XjZnw
1 Hour of Celtic Elf Music
マーライシャはスパニッシュケルト…?
https://www.youtube.com/watch?v=MKqAsNgH05c
Spanish Celtic Music
うん。w(^w^)w そんな感じ…♪
…お♪ 「狼さん」の曲だ…♪
https://www.youtube.com/watch?v=06H_6oI4EK4&ebc=ANyPxKrZPnLXY9oq_dHhrS0fvmiXo_cFwkBzBwR5GQNd6y3DHTdbkqB-D3ce5lEWtXhNAUpg28SgayJJCQdWF6dnQloMztSqbA
Celtic Music - Wolf Blood
奥さん逞しくて美狼だったよね♪
「そのせつ」は、一族みなさまに、大変お世話になりました…☆
…w(^^;)w…
…で…(^^;)…☆
判った!(^◇^;)!
「落船山(地球脱出)カタパルト跡地」を…
後に、「多時空間隙連結トンネル」に転用して…
それが「星ヶ沼の下を通っているアレ」なので…
マシカが「そこを通って大地に流れ着いた」由来で…
そもそも星ヶ沼は「知神ヨーリャが大地世界に最初に開いた泉」であった…
と、いう、縁起ばなし。
…だったのね…ッ☆
…w(^◇^;)w…☆
https://www.youtube.com/watch?v=0W2duTA5kJ4&ebc=ANyPxKojE7sNrNvn1o4wMP-tVN1_5PNhfg8HwJVLJlXQiyQpGORsXdAhUcieK4DVlpfM5hoe3p65eMDtxrQcuVyo9Y0H6OXL7w
celtic music and king of dance
まったく!本当にッ!
こんな感じの『物語』世界だぜ…ッ!!☆
===============
(2016.03.25.出しました。)
次に目覚めた時、マシカは一瞬自分がどこにいるのか判らなくてとまどいました。それから見慣れた自分の部屋にいるのだと気付いてほっと息をつき、エルフエリのことを思い出して慌てて起き上がりました。
飛仙は本当に助かったのです。わずかに木窓をあけて秋の陽射しのゆらめく部屋の中で、穏やかな寝息をたてて眠りについています…。
きちんと厚手の上衣を身に着けてきたマシカを見て、火の番をしていたミニタは満足そうに黙って台所へ引き下がりました。
幾日か、エルフエリはまだ少し熱の残る額をしてうとうととまどろみ、時折ふと目を覚ましては看病にあたる少女の姿を見て微笑を浮かべ、それで安心するのか再び静かな回復の夢のなかへと沈んでいきます。
日に四回、薬湯や薄めた肉の汁などを口元へはこぶと大人しく飲み込んでくれるようなのが、今のマシカにはなにより嬉しいことでした。
ミニタは飛仙のために使い切ってしまった薬草の種類を補充しに、毎日葉篭を背負ってひとりで薬草摘みに出掛けて行きます。
山家のぐるりにはどうしたわけかこの数日、淡い白い霧がとりかこむように降りていて、何故か精霊たちに守られているのだろうという気が住む者たちはしているのでした。
毒の痛手もほとんど癒えたエルフエリがとうとうはっきりと目覚めた時、その深いふかい少し哀しげな月夜の沼の藍色の瞳にとらえられた少女はわけもなくうろたえて身のおきどころのないように感じました。
「ここは…」
「まだ、お起きにならないで」
マシカは手にした薬鉢を放りだして枕元にかけよりました。
「十日も寝ておられたんです。無理ですわ!」
けれど信じられないことに飛仙は自らの力で寝台の上に起き上がってしまいました。どころか包帯だらけの体で可能な限り優雅に仙族風のお辞儀などしてのけたのです。
「あの…」
宮家の貴婦人のように扱われて山娘はすっかりどぎまぎしてしまいました。無論それ以上に、薬師としてやっと合わさった傷口が開いてはと心配していたのですが。
「誠心をもって御礼申し上げる、我が生命の救いの君」
湧き水のひびきいるように、聴く者の心をゆらす声でした。
「御名を頂けようか? 我は飛仙の一族、ミルスドリアの長子にしてフェルンストゥーラの正嫡フェルラダル、…あなたがたの人族の言葉では《銀の楡》と呼ばれる者」
「楡の樹(マ・バルナ)?」
思わず聞き返してしまってから薬師の少女はうろたえて真っ赤になりました。
「無礼をお許しください、お星さん(マ・シカ)とだけ呼ばれています。捨て子、でしたので、名乗るべき名がないのです…」
「星の姫(マリス・シクリア)」
病みあがりのまだ少し蒼醒めた貌で仙族はうなずきました。
星(シカ)…仙族語でいう昴(シクリア)…とは、大地に根ざして生きる人の子にしてはずいぶん風変わりな命名だと感じながら。
「あたしは薬師です。ここは神の峰アドリアウィに近い旧街道、道の果ての村…ミアテイネア地方のミアトの国ですわ」
「山人の国」
驚いたようにエルフエリは言いました。
「それでは私はだいぶ道を外れてしまった。まっすぐに月の出るかたを目指したつもりであったが…」
旧街道というからには、もしや星ヶ沼(シクリア・リテル)が私を呼びよせたのだろうか?
独白のようにつぶやいた飛仙の言葉をマシカは聞き逃しませんでした。
「あの沼をご存知なのですか? あんな、山の中に隠れた小さな場所なのに…」
静かに笑って飛仙はそれには答えず、再び深々と辞儀の仕草をしましたが、今度はすこしそれが辛かったらしく、わずかに顔をゆがめて息をつめました。
「…とにかく、幾重にも御礼申し上げる。小さな我が山の姫」
「あたしみたいな小娘は姫などではありません!」
焦れて打ち消しながらもマシカは腕をさしのべました。飛仙に対して非礼は承知の上でしたが、ともあれ薬師でしたから。
「もう横になっておとなしくお休みになって下さい。やっと傷がふさがりはじめたばかりだっていうのに、起き上がるなんてそもそも無茶なんです」
かすかに苦笑して、飛仙はといえばされるがままにおとなしく横たわっていました。
よく陽のあたる庭先でマシカは椅子とはさみを持ち出して、焼けて無惨に長さがまちまちになってしまった飛仙の髪を切りました。少し震える手の先から風のように細い淡い銀色がぱらりぱらりと流れ落ちていきます。
雪のふるさまを見ているようでした。
「マシカ殿…私はもう旅立たねばならない」
両のまぶたを閉ざしたまま飛仙は静かに言いました。
「小さな山の姫よ、私の剣と荷はどこに?」
ふうわりと長い髪が秋の誘いにさらわれて空に溶け込んで去りました。マシカはためらい、このまま冬を飛仙に越させたいと本気で思いもしました。
傷はかたちばかり癒えたとはいえ、もっと治療と休息が必要なはずでした。けれど同時に、彼が行かねばならないことも、幼くして薬師である重責を背負っている少女にはおぼろげに理解しうることでした。
「…どうしても…?」
道具を静かに片づけてしまうと、つんと鼻のおくで潮の匂いがするようで、マシカは顔をしかめて耐えました。
伝えることのできない不思議な哀しみにからだが透き通るようで、それ以上に、何もできない子供の時分が歯がゆくて悔しくて、ただ首をふる以外しかたもない事なのです。
北からの風が鳴っています。星ヶ沼の水面がさざめいて、白い浪が老木の根元をだまってさらっていくのです。
「星の娘。小さな私の姫よ」
マシカは黙って少し体を起こしました。フェルラダルの双腕は剛く暖かく、それでも少女はそのなかから離れて立ったのです。
朽ち葉色の巻き毛を風がかなしくさらって吹き上げていきました。
「それではひとつだけ。…私が贈る名を、真の呼び名として受け取って頂けようか」
「名前を?!」
それはマシカには思いもよらず、だからこそ誰も知らぬまま心に秘めていた願いでもあったのでした。
「そう。我ら仙族の言葉で野の星(ウエタ・シクリア)といえば山百合のこと。ゆえにこれからはそう名乗られるがよい。」
「山百合(サユライ)…」
もうそしてすべては語られてしまいました。銀の楡はただの山娘にすぎないマシカ…いえ、サユライに、まるで白き都の女皇にでも拝するように敬々しく膝を折りました。そして静かにその額飾りの上にくちづけたのです。
「あなたの行かれる道があなた自身のものでありますように…」
その、古いふるい神々の祈りの言葉をマシカ・サユライが耳にするのは初めてでした。
それでも少女はまっすぐにフェルラダルの見つめる両眼を覗きかえして、深い沈黙を見につけ、やがて言ったのでした。
「また、いつか、会えますね」
エルフエリはふっと微笑してわずかに身じろぎしました。
と、見るまに地を離れたその体躯はおどろく暇もなく空の高みに溶けこんで小さく遠くなっていきます。マシカはいついつまでも目を細めて東のかたを眺めやっていました。それから…西の空を。
冬のはじめの下ろしの疾風が轟と呼んでどうと鳴って森を揺るがせにして通り過ぎて行きます。マシカは流れていく髪のふさを片手ではらいのけて、最後にもういちどだけ真東の高みを見遥かしました。
冬の時代が来るのです。それから山百合はもうずいぶんと遅れてしまった村里に降りる支度を片付けに、すたすたと山を下って行きました。
http://85358.diarynote.jp/201603111553281437/
オホーツク【紋別】宇宙港or
【落船山】 星船(ぶちあげ)トンネル…(^^;)…☆彡
http://amaimonoko.at-ninja.jp/h-mtdata/hoka/sanmeko/dohoku/ocipnesan.htm
山名考 落船山 (おちふねさん)
…竜童始にいさんとか、
ビルボ・バギンズとか、
歴ヲタが食いついたら、
しばらく離れそうにないネタですね…☆w(^w^;)w☆
(山中の洞窟にゴクリ(スメアゴル)が棲みついていても驚かないわ~…☆)
http://kac-yama.com/newpage686.htm
ヤブ山三山~落船山(525m)・チセネシリ山(430m)・立牛岳(630m)~
ぉお(^^;)「ヤブ漕ぎ山」!(^^)!好みだ…☆
(もう色々ごった煮で…♪)
https://www.youtube.com/watch?v=UQl8fURGSrA
Swedish Folk Music - Födelsedagsfesten
https://www.youtube.com/watch?v=zYtvaAw8AsE&ebc=ANyPxKpXy1zBCvlIuLjSiDt4Q7jFySeCojrPvw9ibarnYADjGcBV_x8yiHNLjmLD72jzBmYoMKF15dXDEtvVNflD_hHLrF38Cw
Ragnarök (Viking Music)
ざくっとしたイメージで、
マーシャはケルティックで、
マシカはノルディックで、
フェル兄様はスカンジナビアンな雰囲気…♪
https://www.youtube.com/watch?v=bYcb19aBSg4&ebc=ANyPxKrS7dzqReRF0w-44OPc7maw51rL8uHDeEbFbcR4DOR_ceCAkC_rszmj1GOIGhwHQHazJ2Oj7mX18G3HwpfaLVldKOkh7A
Vikings - Theme Song
(さらに言うなら、
マーイアラフはイングリッシュケルトで、
https://www.youtube.com/watch?v=asyvA7XjZnw
1 Hour of Celtic Elf Music
マーライシャはスパニッシュケルト…?
https://www.youtube.com/watch?v=MKqAsNgH05c
Spanish Celtic Music
うん。w(^w^)w そんな感じ…♪
…お♪ 「狼さん」の曲だ…♪
https://www.youtube.com/watch?v=06H_6oI4EK4&ebc=ANyPxKrZPnLXY9oq_dHhrS0fvmiXo_cFwkBzBwR5GQNd6y3DHTdbkqB-D3ce5lEWtXhNAUpg28SgayJJCQdWF6dnQloMztSqbA
Celtic Music - Wolf Blood
奥さん逞しくて美狼だったよね♪
「そのせつ」は、一族みなさまに、大変お世話になりました…☆
…w(^^;)w…
…で…(^^;)…☆
判った!(^◇^;)!
「落船山(地球脱出)カタパルト跡地」を…
後に、「多時空間隙連結トンネル」に転用して…
それが「星ヶ沼の下を通っているアレ」なので…
マシカが「そこを通って大地に流れ着いた」由来で…
そもそも星ヶ沼は「知神ヨーリャが大地世界に最初に開いた泉」であった…
と、いう、縁起ばなし。
…だったのね…ッ☆
…w(^◇^;)w…☆
https://www.youtube.com/watch?v=0W2duTA5kJ4&ebc=ANyPxKojE7sNrNvn1o4wMP-tVN1_5PNhfg8HwJVLJlXQiyQpGORsXdAhUcieK4DVlpfM5hoe3p65eMDtxrQcuVyo9Y0H6OXL7w
celtic music and king of dance
まったく!本当にッ!
こんな感じの『物語』世界だぜ…ッ!!☆
===============
(2016.03.25.出しました。)
次に目覚めた時、マシカは一瞬自分がどこにいるのか判らなくてとまどいました。それから見慣れた自分の部屋にいるのだと気付いてほっと息をつき、エルフエリのことを思い出して慌てて起き上がりました。
飛仙は本当に助かったのです。わずかに木窓をあけて秋の陽射しのゆらめく部屋の中で、穏やかな寝息をたてて眠りについています…。
きちんと厚手の上衣を身に着けてきたマシカを見て、火の番をしていたミニタは満足そうに黙って台所へ引き下がりました。
幾日か、エルフエリはまだ少し熱の残る額をしてうとうととまどろみ、時折ふと目を覚ましては看病にあたる少女の姿を見て微笑を浮かべ、それで安心するのか再び静かな回復の夢のなかへと沈んでいきます。
日に四回、薬湯や薄めた肉の汁などを口元へはこぶと大人しく飲み込んでくれるようなのが、今のマシカにはなにより嬉しいことでした。
ミニタは飛仙のために使い切ってしまった薬草の種類を補充しに、毎日葉篭を背負ってひとりで薬草摘みに出掛けて行きます。
山家のぐるりにはどうしたわけかこの数日、淡い白い霧がとりかこむように降りていて、何故か精霊たちに守られているのだろうという気が住む者たちはしているのでした。
毒の痛手もほとんど癒えたエルフエリがとうとうはっきりと目覚めた時、その深いふかい少し哀しげな月夜の沼の藍色の瞳にとらえられた少女はわけもなくうろたえて身のおきどころのないように感じました。
「ここは…」
「まだ、お起きにならないで」
マシカは手にした薬鉢を放りだして枕元にかけよりました。
「十日も寝ておられたんです。無理ですわ!」
けれど信じられないことに飛仙は自らの力で寝台の上に起き上がってしまいました。どころか包帯だらけの体で可能な限り優雅に仙族風のお辞儀などしてのけたのです。
「あの…」
宮家の貴婦人のように扱われて山娘はすっかりどぎまぎしてしまいました。無論それ以上に、薬師としてやっと合わさった傷口が開いてはと心配していたのですが。
「誠心をもって御礼申し上げる、我が生命の救いの君」
湧き水のひびきいるように、聴く者の心をゆらす声でした。
「御名を頂けようか? 我は飛仙の一族、ミルスドリアの長子にしてフェルンストゥーラの正嫡フェルラダル、…あなたがたの人族の言葉では《銀の楡》と呼ばれる者」
「楡の樹(マ・バルナ)?」
思わず聞き返してしまってから薬師の少女はうろたえて真っ赤になりました。
「無礼をお許しください、お星さん(マ・シカ)とだけ呼ばれています。捨て子、でしたので、名乗るべき名がないのです…」
「星の姫(マリス・シクリア)」
病みあがりのまだ少し蒼醒めた貌で仙族はうなずきました。
星(シカ)…仙族語でいう昴(シクリア)…とは、大地に根ざして生きる人の子にしてはずいぶん風変わりな命名だと感じながら。
「あたしは薬師です。ここは神の峰アドリアウィに近い旧街道、道の果ての村…ミアテイネア地方のミアトの国ですわ」
「山人の国」
驚いたようにエルフエリは言いました。
「それでは私はだいぶ道を外れてしまった。まっすぐに月の出るかたを目指したつもりであったが…」
旧街道というからには、もしや星ヶ沼(シクリア・リテル)が私を呼びよせたのだろうか?
独白のようにつぶやいた飛仙の言葉をマシカは聞き逃しませんでした。
「あの沼をご存知なのですか? あんな、山の中に隠れた小さな場所なのに…」
静かに笑って飛仙はそれには答えず、再び深々と辞儀の仕草をしましたが、今度はすこしそれが辛かったらしく、わずかに顔をゆがめて息をつめました。
「…とにかく、幾重にも御礼申し上げる。小さな我が山の姫」
「あたしみたいな小娘は姫などではありません!」
焦れて打ち消しながらもマシカは腕をさしのべました。飛仙に対して非礼は承知の上でしたが、ともあれ薬師でしたから。
「もう横になっておとなしくお休みになって下さい。やっと傷がふさがりはじめたばかりだっていうのに、起き上がるなんてそもそも無茶なんです」
かすかに苦笑して、飛仙はといえばされるがままにおとなしく横たわっていました。
よく陽のあたる庭先でマシカは椅子とはさみを持ち出して、焼けて無惨に長さがまちまちになってしまった飛仙の髪を切りました。少し震える手の先から風のように細い淡い銀色がぱらりぱらりと流れ落ちていきます。
雪のふるさまを見ているようでした。
「マシカ殿…私はもう旅立たねばならない」
両のまぶたを閉ざしたまま飛仙は静かに言いました。
「小さな山の姫よ、私の剣と荷はどこに?」
ふうわりと長い髪が秋の誘いにさらわれて空に溶け込んで去りました。マシカはためらい、このまま冬を飛仙に越させたいと本気で思いもしました。
傷はかたちばかり癒えたとはいえ、もっと治療と休息が必要なはずでした。けれど同時に、彼が行かねばならないことも、幼くして薬師である重責を背負っている少女にはおぼろげに理解しうることでした。
「…どうしても…?」
道具を静かに片づけてしまうと、つんと鼻のおくで潮の匂いがするようで、マシカは顔をしかめて耐えました。
伝えることのできない不思議な哀しみにからだが透き通るようで、それ以上に、何もできない子供の時分が歯がゆくて悔しくて、ただ首をふる以外しかたもない事なのです。
北からの風が鳴っています。星ヶ沼の水面がさざめいて、白い浪が老木の根元をだまってさらっていくのです。
「星の娘。小さな私の姫よ」
マシカは黙って少し体を起こしました。フェルラダルの双腕は剛く暖かく、それでも少女はそのなかから離れて立ったのです。
朽ち葉色の巻き毛を風がかなしくさらって吹き上げていきました。
「それではひとつだけ。…私が贈る名を、真の呼び名として受け取って頂けようか」
「名前を?!」
それはマシカには思いもよらず、だからこそ誰も知らぬまま心に秘めていた願いでもあったのでした。
「そう。我ら仙族の言葉で野の星(ウエタ・シクリア)といえば山百合のこと。ゆえにこれからはそう名乗られるがよい。」
「山百合(サユライ)…」
もうそしてすべては語られてしまいました。銀の楡はただの山娘にすぎないマシカ…いえ、サユライに、まるで白き都の女皇にでも拝するように敬々しく膝を折りました。そして静かにその額飾りの上にくちづけたのです。
「あなたの行かれる道があなた自身のものでありますように…」
その、古いふるい神々の祈りの言葉をマシカ・サユライが耳にするのは初めてでした。
それでも少女はまっすぐにフェルラダルの見つめる両眼を覗きかえして、深い沈黙を見につけ、やがて言ったのでした。
「また、いつか、会えますね」
エルフエリはふっと微笑してわずかに身じろぎしました。
と、見るまに地を離れたその体躯はおどろく暇もなく空の高みに溶けこんで小さく遠くなっていきます。マシカはいついつまでも目を細めて東のかたを眺めやっていました。それから…西の空を。
冬のはじめの下ろしの疾風が轟と呼んでどうと鳴って森を揺るがせにして通り過ぎて行きます。マシカは流れていく髪のふさを片手ではらいのけて、最後にもういちどだけ真東の高みを見遥かしました。
冬の時代が来るのです。それから山百合はもうずいぶんと遅れてしまった村里に降りる支度を片付けに、すたすたと山を下って行きました。
コメント
50
100…♪(^^)♪
とりあえず「入力終わった」ら…この数字♪
縁起がいいぞ~…♪