https://www.youtube.com/watch?v=LkOUh6kR89k
Epic nordic music - Faraway

…さてと(^^;)
本来の作業予定に戻りますよ…☆

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   大地世界物語(仮)

        by 遠野真谷人

 子供心にも、このお話は確かに違うのだと判っていた。


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宝玉物語I

山百合と銀の楡

          遠野真谷人


 さあ、みんな、お布団にはいりましたか?
 お話をはじめますよ!


 月の美しい晩でした。
 マシカは、夜ふけにそっと身を起こして、となりの台所の気配をうかがいました。
 カタカタと火の番をしながら夜なべ仕事をしている小さな音が聞こえます。ねえやのアルマは今頃はマシカはもうぐっすりと眠ったものと思っているのでしょう。
 ぬきあし、さしあし。
 マシカはそぉっと寝台からすべりおりて窓べに近づきました。戸板を上におしあけて突っかい棒でおさえるようになっている窓わくの金具には、こういう時のために音がしないよう、きちんと油が塗ってありました。
 すとん、と夜の庭におりたちます。
 満月が深い森の木々のこずえにかかっておりました。
 最後にもういちど台所の方へふりかえります。だいじょうぶ、気づかれたようすはありません。
 さあ! 自由です。
 マシカは森のなかへとかけだして行きました。

 右へ行って、左へまわって、木の枝にとびついて、岩のあいだを飛んで。
 おどるように気まぐれに道もない夜の森をはしりぬけます。
 ほんの赤ちゃんのころから夏のあいだを毎年すごしてきたところです。



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