(前項参照)
まぁ考えがまとまらないので、とりあえず肉体労働(転記作業)…w
https://www.youtube.com/watch?v=P94DusN4LsY
Taylor Swift -- Begin Again (Piano/Cello Cover) ThePianoGuys
https://www.youtube.com/watch?v=DRVvFYppU0w
Moonlight - Electric Cello (Inspired by Beethoven) - ThePianoGuys
まぁ考えがまとまらないので、とりあえず肉体労働(転記作業)…w
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山百合と銀の楡
月の美しい晩でした。いつものようにつましい夕食を食べ、今日摘んで来た分の薬草の仕分けを終えてしまうと、今日もマシカは窓から裏庭へと抜け出しました。慣れた足どりで表へまわり、アルマの部屋の灯りがもう消えているのを確かめます。OK。忍び足で庭の菜園を通り抜け、小屋の先で下草の中に消えている小径をつっきって、さあ!マシカの自由な時間。森の中で一人思いっきり跳ねまわることができるのです。気の早いもみじ葉たちが散りしき始めているのを踏みしだいて、夜露の冷たささえ気にならぬげに、マシカは薄着一枚で奥へ奥へと山の中を走って行きました。
風音ひとつとてない樹々たちのしじまです。あちらへ跳び、こちらへはね、月の銀と宵闇との織りなす不可思議な透かし模様に溶け込みながら、やせっぽちの子供がかもしだす韻律だけがただその静寂の中に吸い込まれて行きます。そして急な斜面を登りきり、小高い崖をひとっとびに飛び降りると… 一本の楡の巨木の梢越しに輝かな月女神(レリナルディ)の姿を映しだして、古い古い沼が静かに横たわっていました。
「楡の木(マ・バルナ)さん、今日も来ちゃった。」
身軽によじ登りながら幼い少女はほがらかに話しかけます。沼の中ほどまで張りだした太い幹の上、枝ととの角度が手頃な腰掛けを提供してくれるあたりがマシカのいつもの特等席。ついでに唯一の肉親の膝としての役割をも毎日果たしてくれているのでした。
「マ・バルナ、今日はねェ、わたしね…」
他愛もない一日の報告を話しながら柔らかい皮のはき物を器用に脱いで足元の洞(うろ)にけこみ、摘み草の恰好のまま着け放していた手甲や脚絆は空を切って向かいの大枝のに飛び込みます。この大楡の樹には大小あわせて十幾つもの洞があって、りすや小鳥の巣になっているもの以外は全部マシカのものなのでした。
さざ波ひとつない沼の面(おもて)がまあるい満月の形を完璧にはじいています。そのくせ星々の影はと云えば沼の底よりさらに深く、見上げてみて手が届かないのよりもっとずっと奥の方に沈んでいるのです。いつもは何の気なしに見過ごして、服を脱ぎ捨てるなり水に飛び込んでしまうのが習慣のマシカも、今日は、ふっとその不可思議さに心を奪われて、上衣のひもをとくのも忘れて見入っていました。
と、その時です。足の下の、沼の淵の、星々よりもさらに遠い深い水宇宙の彼方を、弱々しい光を放ちながら漂っていくものがありました。
「マ・バルナ、あれはなあに?…」
思わず声に出してつぶやきながら、マシカはほとんどころげ落ちんばかりに身を乗り出しました。なぜだかマシカ自身の姿は水の中に映らないのですが、ひとつ事に心を奪われていて気づく余裕がありません。
「人?そう、人影みたいだけど…」
瞳をこらす間にもそれはマシカの足下を通り過ぎて行きます。
「仙族!飛仙なんだわ!そっちへ行っちゃダメ!!」
とっさに空を振り仰いでその正体に気づくなり、マシカは精一杯そう叫んでいました。
「そちはダメッ。鬼が出るの、危ないのよ。いきなり射られてしまうんだからっ!」
けれどその声が耳に届かないのか、それとも言葉が通じていないのでしょうか? 放心したように漂って行く先には一筋の川があるのです。あまりに流れが冷たい上に古くから不思議な力があると伝えられて、悪い性質を持つ者たちは近づこうとはしませんが…それでもその川を域いにして向こう側には、近頃かなりの数の鬼たちがうろついているという事でした。現におととい、どうしても川向うでなければ摘めない香り草をとりに忍び込んで、マシカも、食べられもしない小鳥たちがたわむれに射殺される所を目にしてきたばかりであったのです。
「行っちゃう!行っちゃうわ。マ・バルナ!」
マシカの声はもう殆ど泣きそうでした。と、楡の木の名を呼んだちょうどその時、まるでよそから飛び込んでても来たように唐突に、もうせんに教わった昔語りの一つが頭にひらめいたのです。
「おねがい、エルフエリ。行かないで!!」
エルフエリというのは"翼なくして天空(あま)駆ける者"。仙族自身の言葉で、彼ら一族の貴人を呼ぶ語なのだそうです。"エルフェリ"とか"エルフィーリ"とも言うのだと、マシカは寝物語に聞いていました。
飛仙は、今度こそ童女の声に気づいた様子で、向きを変えようと振り向いたのです。が… 一体どうしたというのでしょう?! 中空で不自然に体をひねったと見るや、バランスを崩した飛仙は、まっさかさまに落ちて来てしまったのです!!
…マシカはまるで悪夢にでも魅入られてしまったようでした。コンナコワイコト、ホントウノハズナイワ。けれど現に目の前で起こっている事なのです。…まだ若い人のようでした。男の人です。緋衣と見たものが、実はすべて血に染っているのです。全身が傷だらけです!! …折れた矢がささったまま、何本も体に突き立っています。
たっ、と枝をけって、マシカは落ちて行く飛仙にとびついていました。ザバン! 背中を打つ水面がまるで氷のよう。ショックで息が止まるようです。何か固い物が胸にぶつかって、思わず開けた口から地獄がなだれ込んできます。
飛仙は気を失なったままなのでしょうか? 高い空から落ちて来た勢いそのままに、しがみついているマシカをもひきずって沈んで行くのです。その太い腕にとりついて、マシカは必死でした。上は、空気のある所はどっち? あの楡の木の太い幹のある方です。楡の木、マ・バルナ…!!
突然。マシカはひどく暖かいものに包まれていました。宝物でも護るよう、命あるものを愛しむよう、生まれたばかりの嬰児(みどりご)を慈しむようにして、エルフエリの広い胸に抱(いだ)かれていたのです。飛仙は負傷のために発熱しているらしく、冷たい水の中にあってなおその腕は火と燃えるようでした。
いえ、ここはもう沼の中ではありません。ごうごうとほえ叫ぶ一面の炎、熱に耐えかねて崩れおちる石の壁。毒矢に倒れ、こぼれた剣を手にしたまま、かつて兵士であったものたちが、松明のように焼けただれてあちこちにころがっています。生き残りえた者は誰もいない、どこか大きな城…でなければ神殿の中に、今、マシカの心は迷いこんでいるのでした。
いつの間にかエルフエリの姿は消え、燃える世界にただ一人ぼっちです。床は火、柱も火。見上げれば天空までもが黒煙に厚く覆われて、幾百億の火の粉ばかりが、生きた星のように舞い狂っています。
気がつくと目の前にはエルフエリの穏やかな寝顔があり、マシカは注意深く包帯をとりかえおえたところでした。
「え!?」 一瞬、前後の脈絡がのみこめずに彼の布団をかけ直す手をとめます。
「あたし…どうしたの? たしか、沼に落ちて…」 そう、それから、何だか夢を見ていたような気もします。長い長い、とてつもなく長くて悲しい、複雑な夢。
「やんれやれ、まずは峠を越えてくれてよかっただね、嬢ちゃま」
星ッ娘(マ・シカ)
星ヶ沼(サーラムソルディナッラ)
https://www.youtube.com/watch?v=DRVvFYppU0w
Moonlight - Electric Cello (Inspired by Beethoven) - ThePianoGuys
コメント
…w(^へ^;)w…
肝心の(唯一の!)「完成第1稿」(中学2年の夏休みの宿題として提出!)は…
当時の国語の先生のココロナイ不注意のせいで…永久に焼失。(--;)してしまっているのでした…★
(なのでこの原稿には思い入れというか恨みが深いんだな…ww)
本日終了…とにかくハラ減って眠い…(~~;)…★
545
545…☆彡
g(^w^)g