第一章 神話時代 (冒頭)
* 後の大地世界において最も長期にかつ詳細に上古神代の物語を記録し伝承していた飛
仙族ファイアルハイェムの記述《四界文書》によれば、世界の成り立ちとはこのよう
なものである。
*飛仙族ファイアルハイェム → 第 章に詳述
第一章 第一節 四界の始まり
一、《光球界》エルース・アム・アマーリア
上古、時なき神々の統べる光空天界センサリテヤの至高神マンマ・ワーガは新たなる領を開くにあたり初めに、若き神々のうち最も優れたる者との誉れも高き女神リースェン・サルアラールを御前に招いた。
「新界の一をもって汝の領と為す。最善をもって治めよ」
「謹んで」
白朧の女神はつつましく膝を折って拝礼し、最も優れたる天翅族らを急ぎ集めて告げた。
「かねて思量のごとく遅滞なく手配せよ」と。
光り輝く天界のしもべらは繊細な翅翼を広げて飛び立ち、一の領の央におおいなる光の繭をつむぎあげ、その聖なる内界を万事清浄によどみひとつなく整え、聖にして静である学究の大府と為した。
この界に属すること許されたる者は、天神族、天翅族、飛仙族、仙獣族、そのうちでもとりわけ霊徳に篤く学びの道に功績すぐれたると女神の讃に浴する者たちであった。
このようにして第一の界は築かれた。
斯の界を、一の界、長姉界、また、《光球界》なるエルー・シァム・リアと称し、時にはまた《虚空に光輝を放つもの》なる美称をもほしいままにした。
二、《炎洞界》ボルドガスダム
時なき神々の統べる虚空天界センサリテヤの至高神、大いなるマンマ・ワーガは次に、若き神々のうち最も猛き者と呼ばれる男神、グァヒギルグを御前に召した。
「そは二の領を得ると決した。欲するまま栄華を極めよ。」
「慶んで」
漆黒の男神は胸に片腕をあて腰を折り優雅に一礼を捧げた。
時ほどなくして虚空天界の末席にまつらう若き天羽族また天獣族、天人族らのうち武勇武勲に優れたる者らが集められ、男神臨席の御前大試合にてさらにその腕を試され選び抜かれて、二の界の民の長たる座をあい争った。
闘いは七日七夜を要し、多くの武名と武勲と伝説と、また敗者と廃者と死者とを呼んだ。
やがて、勝ち残りたる者らによって七つの異なる武芸を誇るそれぞれの氏族と支族と下士族が定められ、またそのうちの央族と貴族と士族と下士族の長と、その下々なる賤の者などが定められ、また雄と雌との決まりごとなどが告げられた。
それらを率いて男神は闇洞界ボルドムと名付けられたる地に赴き、大いなる道洞穴居都窟岩洞宮を掘り開き、男神の神威たる赤き闇炎をあまねく照らし掲げて、これを二の界、長兄界、また。《炎洞界》なるボルドガスドムと称した。
この界をもって、また虚空天界のいくたりかは《武勲界》と呼び、光球界では《死壊苦界》とも称する。
三、《大地世界》ダィ・レム・アールス
時なき神々の長たる至高神ワーガ・マンマは次に、若き神々の末席に連なる女神マライアを御前に召した。
「そなたの望みを叶えよう。三の界を与える」
「まぁ、ありがとう、ママ!」
若き女神は嬉しさのあまり至高神に飛びつき抱きつき抱きしめて、両の頬にくちづけの雨を降らせた。
(後略)
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