(2013.05.21.入力)

 薬用せっけんの殺菌剤
 筋肉機能に悪影響


 せっけんやシャンプーなどに使われている殺菌剤、トリクロサンが筋肉の機能を損なう作用をすることを、米国の研究グループが動物実験で確かめました。

 トリクロサンは環境中から広く検出されるだけでなく、人体からも検出されています。

 研究グループは、トリクロサンを多用することに警告を発しています。(略)

 トリクロサンは塩素を含む有機化合物の一つです。殺菌作用を持つことから、当初は医療機関を中心に消毒用として使われていましたが、最近は一般家庭で使う薬用せっけんやシャンプー、歯磨き粉などさまざまな用途に利用されています。

 川や湖沼、海の水、底泥などだけでなく、ヒトの血液や尿、母乳などからも検出されることがわかっています。

 トリクロサンの人体や環境への影響んいついては、米国で再調査が進められるなどしていますが、いまのところ、生産や使用への規制はありません。(略)

 研究グループはトリクロサンの化学構造から、筋肉の収縮を妨げる働きをもつ可能性があるのではないかと考えました。

 マウスに体重1kg当たり数mgから数十mgのトリクロサンを投与すると、手足の力が投与前に比べ平均して約13%低下、心臓から送り出される血液の量も最大で約25%少なくなったといいます。

 コイ科のヒメハヤの仲間の幼生を、環境中で検出される程度の濃度のトリクロサンを含む水の中で飼育したところ、泳ぐ距離が以前より短くなったり、危険を察知して逃げるときに必要な瞬発力が弱まりました。

 研究グループは、「瞬発力がわずかでも弱まることで生存率に大きな違いが出る」と指摘します。

 マウスから取り出した骨格筋と心筋の細胞を使って、トリクロサンが筋力の低下を引き起こす原因を探りました。その結果、筋肉の収縮にかかわっている二つの受容体たんぱく質の間の正常な伝達ができなくなるためであることが明らかになりました。

 研究グループは、「今回の結果をヒトにそのまま当てはめることは困難だが、もともと心臓の病気をかかえている人には重大な問題となる可能性がある。使用量を劇的に減らす必要がある」としています。


 トリクロサン 日本でも環境中から検出
 大都市周辺河川など

 トリクロサンは米国環境保護局(EPA)によると同国内だけで年間500トン弱が生産されています。環境省によると日本での生産はありませんが、年間20トン程度輸入され、薬用せっけんなどに使われています。

 東京農工大学の高田秀重教授たちは医薬品として使われている化学物質による環境汚染を調査しています。

 全国各地の37の1級河川の水を分析した結果、主に大都市やその周辺を流れる河川の水からトリクロサンが検出され、日本でもトリクロサンによる汚染が広がっていることが裏付けられました。

 東京湾の海底堆積物を分析したところ、堆積年代が新しい、浅いところほど濃度が高くなっていました。(略)最近の使用量の増大を反映しているとみられます。(略)

 底泥中のトリクロサンは、ハゼなどに取り込まれる可能性があります。(略)


「トリクロサンが入ったせっけんなどをむやみに使わないことと、下水処理能力を高めることで、環境中へ出るのを防ぐことが必要です」(略)


(間宮利夫)
(日本共産党 http://www.jcp.or.jp/
 機関紙「しんぶん赤旗」http://www.jcp.or.jp/akahata
 2012.10.08.)


>研究グループが動物実験で確かめました。

 「動物実験反対!」とか口先だけでは唱えつつ、こういうデータはアリガタク拝読してしまう私に、他人様を責める権利はありません……。

 (--p)

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