私立高校卒業クライシス ③
 特例貸付 運動で実現

 学費が払えずに卒業・進級できない高校生をなくしたい-。世論と運動の高まりのなか、厚生労働省は4日、滞納した高校の学費支払いのために生活福祉資金(教育支援資金)の貸付をおこなう特例措置を決定しました。
 今回の決定は、月額3万5千円の生活福祉資金貸付(教育支援資金)を、滞納が発生した時までさかのぼっておこなうものです。この緊急策は、昨年度初めて実施され、46都道府県で1038人に貸与されました(平均約25万円)。返済は20年以内で無利子。各都道府県の社会福祉協議会が実施します。


 周知徹底して

 全国私立学校教職員組合連合(全国私教連)書記長(略)は「当初 “今年の実施は未定” としていた厚労省を動かしたのは運動です。卒業式は目前です。一刻も早くこの措置を周知徹底し、該当するすべての世帯が利用できるようにすることです」と言います。厚労省通知も「必要時期に間に合うよう迅速な貸付決定」を求めています。
 全国私教連は、厚労省に、生活福祉資金の特例措置実施を要請するとともに、「私立高校生学費・卒業問題緊急ホットライン」を開設し滞納の相談に応じてきました(本欄4日付で紹介)。
 昨年度の特例措置での貸付者数には県ごとに大きな格差がありました。100人以上が2都県ある一方で、ゼロが1県、10人未満が17県ありました。「貸付者ゼロの県にも昨年度、経済的理由での中途退学者はいました」(略)全国的には、200人が中途退学に追い込まれています(略)。


 「基金」活用も

 学費滞納への支援財源として、文部科学省の「修学支援基金」にも注目が集まっています。都道府県の奨学金事業や授業料減免拡充を支援するための制度で、総額486億円。3年間の時限措置の2年目の終わりに近づいた昨年12月時点で、都道府県の基金には300億円以上が使われずに残っています。基金をつかうには自治体の負担が重いことが指摘されています。
(略)「県は独自予算が乏しい。国は基金をもっと使いやすくすることが必要です。都道府県は苦しいなかでも新たな支援に踏み出す時です」(略)
 各都道府県が実施している高等学校奨学金は、家計が急変した場合には年度途中からでも借りることができます。
 例えば月4万円(または3万円)が貸与される神奈川県の場合、県担当者は「家計が急変した家庭は、今からでも奨学金を申し込んでください」と言います。採用されれば家計が急変した月までさかのぼって支給することが可能です。神奈川県の私学関係者は「昨年度は、家計急変でなくても奨学金申請を12月に受け付けてもらえた」と言います。
 学校が独自に実施する奨学金制度を、国や自治体が助成するのも緊急策の一つです。


 自治体で格差

 授業料減免制度は全都道府県が独自に実施しています。しかし、内容には大きな差があり、広がっています。一方では授業料だけでなく、施設設備費などを含む納付金全額助成(所得制限あり)にまで踏み出した府県があります。他方で予算を削減し、独自補助がほとんどなくなってしまった県もあります。(略)

「滞納をなくすために高校生に借金を背負わす貸与でなく、給付にすることが必要です。現に一部では実質的学費無償化が実現している。住んでいる自治体によってこんなに格差があっていいのでしょうか。国が責任をもって解決すべきです」

(つづく)
(※前回は5日付)
(日本共産党 http://www.jcp.or.jp/
 機関紙「しんぶん赤旗」http://www.jcp.or.jp/akahata
 2011.02.11.)


>各都道府県が実施している高等学校奨学金は、家計が急変した場合には年度途中からでも借りることができます。
>家計が急変した月までさかのぼって支給することが可能です。

 知らない人が多いと思うの。

 お近くで、リストラとか急病とかでお困りのご家庭があったら、ぜひ、教えてあげてください~☆☆☆☆””



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