私は私の苦しみと慟哭を知っている。
 誰が知らなくても、私が知っている。
 小学校2年生の小さな、やせ細った(おなかがすいた!)手首に、小さな右手でやっと握れる「大人の包丁」を当てて、きっと引いてみて。

 ぴしっと走った痛みと、ちろりとにじみだした赤い血液と、その悲しさとむなしさに。

 「……この包丁じゃだめだ……」とか、へんな絶望感を抱いて、床につっぷして、声を殺して慟哭した、あの、夜更け……



 くりかえす、その、自殺未遂の痛みと哀しみを、私は知っている。

 血液の熱さと、反対に氷のように凍えて感覚の鈍い指先や足先の冷たさ。

 飛び降りようと登った高い高い場所から下を見下ろしてしまった時の本能的な恐怖感と、「飛び降りる勇気がない!」と自分を責める矛盾……



 それを、私は、知ってる。




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