ひと
地域生活を守る
「住民のための住民の株式会社」責任者
(略)さん (66)
近くに商店がなくなったり、商店への交通手段がなくなったりする地域が増えています。高知県四万十市で、地区の人たちが出資した会社が日用品やガソリンの販売を始めて5年。大宮地区は300人ですが毎年黒字経営です。昨年は「過疎地域自立優良事例」の総務大臣賞を受賞。東北や九州からも議員や行政関係者が視察に来ます。
発端は、唯一日用品を売る農協出張所の廃止でした。存続運動に奔走しましたがわずか4カ月で廃止。地域を一軒一軒回り「力不足」を詫びました。胸を突かれたのは、「買い物ができなくなる」と言うお年寄りの声でした。
「詫びて終わり」と思っていた考えを打ち破る訴えでした。
「経営効率第一で田舎の出張所をつぶし、町の中だけに事務所を置いて何が農協か。負けてたまるか」。負けん気に火が付きました。700万円の出資金が集まり株式会社を設立。責任者に推されました。
良質の「大宮米」の販売、みんなが集える場所づくり、土曜夜市の開催など考えられることを次々と実行しています。
「地域を守るにヒーローはいらん。みんなが地域の良さを自覚することと周りの人への思いやりが大事」が信条。「過疎」「限界集落」という言葉は嫌い。
「田舎に人がいなくなったのは天災じゃない。諦めたらいけん」。語り口は柔らかですが、「芯が強く見かけによらず頑固」とは近くで見る人の人物評です。
(文・ 窪田和教)
(日本共産党 http://www.jcp.or.jp/
機関紙「しんぶん赤旗」http://www.jcp.or.jp/akahata
2011.01.21.)
さすが高知は四万十、土佐よ。
「維新」というならこれを言え!
!(^^)!
時の航路 -138-
第七章 新生 (10)
(略)わたしは労働組合に入ってまだ二カ月しかたっていないけれど、組合の人、そして支援の人や弁護士さんなど、他人のために一生懸命やるという人たちの姿に心を動かされていた。
知り合ったばかりで、お金があるわけでもない、一派遣社員のわたしのために、なぜこうも働いてくれるのか。そんな人にわたしは、これまで遭ったことがない。
人は自分の損得で動くもので、人間関係は、たがいに信じられないということを前提にあるのだと考えていた。だから、この人たちは何を目的に、なぜ他人のために忙しく駆け回っているのか。わたしのちっぽけな物差しでは計れなかったのだ。(略)
わたしは最初、先生と会うときに、三十分間の法律相談料が五千円というホームページの記事を見て、封筒に入った一万円札を当然のこととして用意していた。
別れるとき、お礼を述べて、要した時間からするとこれでは足りないかもと気にかけながら、遠慮がちに封筒を差し出したのだったが、先生は 〈いいのよ〉 と手を横に振って、決して受け取ろうとはしなかった。
多忙な時間を割いて相談に乗ってくださったのだから、仕事に対する報酬は当たり前のことと認識していたわたしはびっくりした。
もちろん弁護士さんには他の仕事もあって収入の得られる場があるのかもしれないけれど、非正規の労働事件などでは、解決した場合の額も少ないし、先生方にはわずかしか支払われないということも後に聞いて知ったのだった。
わたしのために、力をつくしてくれる多くの人たちは、何に心ひかれてそうしているのだろうか。自らの利害を度外視して生きている人たちに接して、わたしは心温まる思いで、人間の美しさのようなものを見てとったのだ。
世の中を斜めから見ていたわたしにとって、これは大変な出来事だった。(略)
〈以前、少しお聞きしましたけど、先生はなぜ、非正規の人たちの弁護や労働事件にかかわるようになったんですか?〉
わたしは思い切って、先生への問いを口にした。おそらく恵まれた環境に育ち、順調なコースを経てきた人が、なぜ弱者に目を向けるようになったのか、その理由を知りたかった。
(日本共産党 http://www.jcp.or.jp/
機関紙「しんぶん赤旗」http://www.jcp.or.jp/akahata
2011.01.21.)
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