さらに命の危険を無視して商売する暴走企業のはなし……。
 横浜たばこ病訴訟控訴審
 被害増やさないため
 賠償・自販機の設置規制・警告表示強化求める

 2回の口頭弁論 原告らが訴える

 たばこ病(肺がん、肺気腫など)を患った横浜市の元喫煙者がたばこ病のない社会をめざして、日本たばこ産業(JT)と国を訴えている「たばこ病をなくす横浜裁判」。舞台は東京高裁に移っています。2回の口頭弁論で浮き彫りになったものは-。


 「繰り返し襲う」

「今回の入院では、肺に穴があいてしまう気胸が悪化し、数時間で手術しないと死に至る状況でした」

 第2回口頭弁論(9月29日)で、前回は入院中で来られなかった原告の(略)さんが陳述しました。
 36年間の喫煙で肺気腫になり、13年間で24回の入退院を繰り返しています。重いぜん息発作、気胸、肺炎などが繰り返し襲ってきます。
 「裁判所は、たばこ病から国民の命と健康を守ることを第一義として判断していただきたい」と、かすれた声を絞り出しながら訴えました。(略)


 依存症 「認知のゆがみ」
 正しい理解を

 害を過小評価

 たばこ病による死者は年間20万人と推計されています。たばこを吸わない人の命も奪います。受動喫煙での死者は約6800人、うち女性が約4600人です。(厚生労働省研究班調べ)
 「それでも吸い続けるのはたばこの依存性が強いからです。高裁ではそのことへの正しい判断を求めたい」と片山律弁護団長は強調します。弁護団が特に注目しているのは、ニコチン依存症の「認知のゆがみ」です。
 「害は大したことない」「吸い過ぎていないから、自分は病気にならない」など害を過小評価する。「ストレスを解消してくれる」「たばこなしでは生きていけない」など効用があるかのように錯覚する。これが典型的な症状です。その結果、「禁煙する気にならない」となるのです。


 予見はできた

 一審判決は依存性を認めつつ、「タバコは嗜好(しこう)品」「注意表示はされてきた」などを理由にJTの違法性を否定しました。片山弁護士は「認知のゆがみを正しく理解したら、判断は違ってきます」と言います。原告が喫煙していたころ、正しい情報を提供すべきJTは、「フィルターが有毒ガスを除去する」「たばこの煙の80%は地球大気の成分と同じ」などと、認知のゆがみを助長するような「注意表示」をしてきました。
 「JTは、たばこの有害性や依存性を認識し、たばこ病で大量の死者がでることも予見できたのに適切な警告表示さえしなかった。違法性があるのは明らかです」
 裁判の目的は、「たばこ病のない社会」の実現です。原告への損害賠償とともに、自販機設置規制や外箱の警告表示強化を求めています。(略)

(畑野孝明)
(日本共産党 http://www.jcp.or.jp/
 機関紙「しんぶん赤旗」http://www.jcp.or.jp/akahata
 2010.10.07.)



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