学問/文化 月曜インタビュー
労働者の生活をとるのは
闘いのドラマがあるから
映画監督 ケン・ローチさん
(略)脚本家のポール・ラヴァティと私は、イラク戦争が始まったときから、イラク戦争についての作品を撮りたいと思っていました。
あの戦争で起こっていることは、戦争の民営化です。国民が傭兵(ようへい)として民間会社で働き、国の軍隊とともにイラクに派遣されているのです。戦争は、こういった民間の請負会社の傭兵によって続けられました。国鉄民営化や健康保険の民営化、ガス、電気、水道、これらと同じように軍隊も民営化したのです。これが、映画を撮るきっかけです。あの戦争は、米国拡大のめにたたかわれたわけでしょう。経済的帝国主義の一種ですよ。
根底にある対立
浮き上がらせる
(略)大きな変化が社会に起きることがあれば、その変化は労働者とその組織から始まらなければいけないのです。私は、労働者の生活から生まれるドラマをみなさんにお見せするために映画を撮っています。経済的圧迫を受けている人たちの生活は、非常に興味深く、強い訴えを持ちます。
労働者の生活を撮ると、権力者が言う「社会の基盤に企業と労働者の本質的な対立なんかない」ということがうそだとわかるんですよ。(略)
いまや、安定就労が不安定就労に変わってしまいました。これは、資本主義がもたらしたものだと思います。
企業はいつだって労賃を減らそうとします。正社員を減らし、非正規雇用を増やすことで労賃を減らす。そうすれば、労働者を調整弁のように使えますから。これは企業側の思惑です。不安定な就労と不安定な収入は、当然貧困を招きます。
安い労働力を求める今の経済システムでは解決できないと思います。政府は企業の代弁をし、労働組合がやりにくいようにしむけます。私の国(イギリス)では、労働組合のトップでさえ、安定した就労を求めることも、賃上げ闘争をすることもしないんですよ。(略)
イギリスでは、失業が深刻な問題になっています。若者の5人に1人が失業状態にあります。学生を含むともっとです。イギリスの新政権は、働いていない人の福祉手当を減額する政策を検討しています。仕事がないのに、ですよ。仕事がないのに、仕事をしていないと痛めつけられる。すべて自己責任だと-。
組織することが
もっとも大切だ
(略)仕事をしたくても、仕事がないのにね。労働者を守る強い労働組合がないといけないですね。労働組合を通じた大きなたたかいが求められます。(略)
もっとも大切なのは、組織することだと思います。最初にも、最後にも、すべての点でね。
組織がないと立ち上がれないですから。
(ケン・ローチ監督: 労働者の直面する厳しい現実を浮き彫りにしながらも、彼らへのあたたかいまなざしとユーモアあふれる作品を撮り続けるイギリスのケン・ローチ監督。カンヌ映画祭で新作「Route Irish」(ルート・アイリッシュ・日本公開未定)が公式上映(略))(小倉詩穂)
(日本共産党 http://www.jcp.or.jp/
機関紙「しんぶん赤旗」http://www.jcp.or.jp/akahata
2010.06.28.)
そして、彼らは立ち上がった
-- もういちど!!
コメント
(来ても、「カネがなくて見れない」可能性のほうが大ですが……泣★)