(2010.05.26.入力)
もんじゅ 運転再開
火災から14年 不安と反対の声
福井
日本原子力研究開発機構は6日午前10時36分、1995年のナトリウム漏れ・火災事故で停止していた高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の制御棒を引き抜き、運転を再開しました。この日は核分裂反応が連鎖的に起きる臨界に達する時点を予測するためのデータを採取しました。
もんじゅは、85年に建設が始まり、91年に試験運転を開始しましたが、性能試験中の95年12月に冷却材のナトリウムが漏れ、火災が発生しました。配管に挿入された温度計のさやが折れ、穴が開いたのが原因でしたが、ナトリウムを扱う技術が確立していないことを実証しました。
原子力機構の前身の動力炉・核燃料開発事業団(動燃)は事故現場のビデオ隠しや、虚偽報告の事実が明るみに出て、社会的な非難を浴びました。運転停止中の2003年には、もんじゅの設置許可無効を求める住民の訴えが、名古屋高裁金沢支部で認められました。
原子力機構は2005年から改造工事を始め運転再開をめざしましたが、ナトリウム漏れ検出器の誤作動や、排気用の管(ダクト)が腐食して穴が開くなどのトラブルが続出。予定は大幅に遅れました。
もんじゅの運転再開は約14年5カ月ぶりで、これだけ長期間運転を停止していた原子炉の再稼働は世界的にも異例なこと。もともと技術が未確立で、さまざまな危険が指摘されているもんじゅの運転再開には、地元住民をはじめ、多くの人たちから不安や反対の声があがっています。
(日本共産党 http://www.jcp.or.jp/
機関紙「しんぶん赤旗」http://www.jcp.or.jp/akahata
2010.05.07.)
原発依存 危険増す
未熟な技術 すでに9000億円
もんじゅ運転再開
高速増殖炉「もんじゅ」が6日、運転を再開した問題で、各界から談話が寄せられました。
安全・経済 破たん
日本共産党の吉井英勝衆院議員の話
私は、1995年のナトリウム漏れ・火災事故の発生後すぐに現地入りしました。動燃(現・原子力機構)の安全軽視や事故現場のビデオ改ざんなどの対応を見ていて、安全神話の思いこみが最大の事故原因だと感じました。
もともと高速増殖炉は、化学的毒性や放射能が強いプルトニウムと、水や空気と激しく反応するナトリウムを使う点で、二つの技術的困難を抱える原子炉です。さらに、既存原発(軽水炉)と比べて建設コスト、燃料コスト、運転・管理コストが高くつくため、商業化して採算が取れる展望がありません。
しかし、新政権も自公政権と同様に、原発の使用済み燃料から取り出したプルトニウムを利用する「核燃料サイクル政策」推進の立場です。
現在、日本には、長崎型原爆5000発分を超えるプルトニウムが蓄積され、国際的な不信を呼んでいます。高速増殖炉がいつまでたってもうまくいかないために、プルサーマル(軽水炉でプルトニウムを使う方式)を強行しています。
国は、地球温暖化対策を口実に原発依存を強めていますが、原発はいったん事故が起きれば最大の環境破壊を引き起こします。新潟県中越沖地震のような地震による原発災害で停止すると、代替火力発電で二酸化炭素を大量に排出することは実証済みです。
核燃料サイクル政策の一つの柱である「もんじゅ」は、安全性からも経済性からも破たんは明らかで、運転再開に強く反対します。(略)
見通しない開発 欧米は断念
「もんじゅ」は、プルトニウムを燃料に使う高速増殖炉という特殊な原発の原型炉です。燃えないウランを燃料の周りに配置して燃えるプルトニウムに変え、使った以上のプルトニウムをつくり出せることから“夢の原子炉”といわれます。
国は、高速増殖炉を柱とする「核燃料サイクル政策」を推進しています。一般の原発から出る使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、高速増殖炉で燃やすというものです。すでに、建設費と運転費合わせて9000億円の税金がつぎ込まれています。
しかし、長期間運転を停止するもととなった1995年のナトリウム漏れ・火災事故に見られるように、技術的に最も困難とされるナトリウムの制御は未確立なままです。
国は当初2030年としていた実用化の時期を50年に変更しましたが、それすら実現の見通しは立っていません。日本より先に開発を始めた欧米各国は、すでにその多くが開発を断念しています。
再処理工場も相次ぐトラブルで計画は大幅に遅れており、再処理で生じる高レベル放射性廃棄物の最終処分場も決まっておらず、核燃料サイクルは行き詰まりの状態です。
(日本共産党 http://www.jcp.or.jp/
機関紙「しんぶん赤旗」http://www.jcp.or.jp/akahata
2010.05.07.)
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