米兵犯罪 なぜ続く
軍隊ゆえの凶暴性もつ
米軍人の犯罪内容が殺人、強盗、放火、性的暴行と凶悪犯罪化しています。一方、被害者には損害賠償金が未払いのままです。米兵犯罪はなぜ発生し続けるのか。複数の米兵犯罪被害者の裁判に携わる高橋宏弁護士に聞きました。
(本吉真希)
高橋宏弁護士に聞く
米軍犯罪の全体像を見たとき、背景に三つのことが指摘できます。
一つは軍隊の本質です。普通の人が殺害を犯すとき、基本的にはためらいを感じています。その中で恨みだとか薬物に侵されているなどの理由で、発生するのが一般です。
軍隊というのは、本来殺すことをためらうはずの人間を、訓練でためらわないように変えさせます。
アメリカの研究で第2次大戦中に発砲した兵士は、15~20%しかいなかったという結果があります。それほど人間というのは同じ人間を殺すことをためらうものなのです。
それを、心理学などを導入して殺りくできるように訓練しました。結果、ベトナム戦争では9割以上にまで引き上げることができた。何も考えずに殺せるように訓練したのです。いわば、人間の持っている凶暴性を極限まで引き上げていくのが軍隊です。そうしないと戦場で使いものにならないからです。
米軍基地に置かれている米兵は、イラクやアフガニスタンにまさに送り込もうとされている人間です。訓練のストレスがたまっていたり、朝まで飲酒していた状態で街を出歩いていたら、その先どうなっていくかは目に見えています。
訓練によって鍛えた危険性がそのまま発現してしまうのが米兵犯罪です。一般の人が犯した殺人とは違います。
良き隣人政策
二つ目は「良き隣人政策」です。軍隊というのは危険なものです。政府は国民に対し「危険」だというべきです。しかし、それをいうと「そんな危険なものを何で置いておくんだ」と反発をかいます。そうならないように、むしろ米軍は「良き隣人なんだ」と日米の政策として国民に植え付けようとしています。
危険なものを「危険じゃない」と教え込まれたら当然、無防備な状態になります。
実際、2006年1月、横須賀で米兵に殺害された佐藤好重さんは、道を聞かれたので教えようとしただけでした。少女暴行もそうです。親しいふりをされれば警戒せずに近づいてしまいます。しかし事件が起きると、被害者が悪いと責められます。責めを負うべきは加害者です。
裁判権を放棄
三つ目は裁判権を放棄した密約の問題です。日本にいる米軍の特権について取り決めた日米地位協定は「公務外」の米兵犯罪について、日本が裁判権を優先的に行使する権利を持つとされています。
しかし、できる限り裁判権を行使しないという約束が、1953年9月に秘密裏に結ばれていました。結果として、圧倒的に起訴されていません。
そういった中で、被害者がいつまでたっても救済されないという実態があります。密約の中身は米兵に知らされていると思います。このような状態で米兵犯罪がなくなるわけがありません。
日本政府はこれまで公務外の犯罪について「米兵個人の問題だから国に一切関係ない」と主張してきました。
これに対し、公務時間外にも米軍の監督権限があることが、裁判を進める中でわかりました。
米兵の犯罪が公務外だったという理由で、米軍や日本政府が責任を負わないという言い逃れは通用しません。
(日本共産党 http://www.jcp.or.jp/
機関誌「しんぶん赤旗」http://www.jcp.or.jp/akahata
2010.02.10)
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