対象は家庭の収入が300万円以下の学生です。
2009年12月13日 くたばれ!カイザー(ん)!(今日の・3)
高すぎる 日本の学費
全国の国立大学の学長で構成する国立大学協会が学生の学費負担の軽減と奨学金の拡充を政府に求めています。北海道教育大学と東京学芸大学の両学長にその思いを聞きました。(略)
未来つくる事業の危機
東京学芸大学学長 鷲山恭彦さん
毎年行っている学生自治会との懇談会の席上、学生たちに勧められて、学費負担軽減の署名にサインしました。
学生たちには社会の矛盾と問題点を見るまなざしを養ってほしい。授業料や奨学金をめぐってもきちんとものが見られる学生がいるのは頼もしいし必要だと思います。
私が学生だったころ(1962年入学)は国立大学の授業料が年額9000円と安かったですね。今は年額53万8000円。高すぎますね。長い間、隔年で標準額を上げていったため、物価の上昇をはるかに上回る高いものになった。こういうやり方はやめて、下げていく方向を追求すべきです。
日本学生支援機構の奨学金を受ける学生が増えていますが、これは借金になります。教員は返還が免除される制度だったが、それがなくなった。借金を抱えて新生活をスタートするというのはまずいですね。
そこで私たちの大学では今年度から「教職特待生制度」を創設しました。対象は家庭の収入が300万円以下の学生です。入学料、授業料の全額免除、返還しなくてもよい年額40万円の奨学金の給付、寮に優先的に入ることができるというものです。「この制度があったから、やる気になって受けた」という応募者が何人もいました。来年度も続けたいと思います。
2007年度創設の「学芸むさしの奨学金」も給付制です。これは保護者の失業や災害など、家計の急変に対応する緊急支援策です。倒産などで給付額は増えていますが、資金の寄付は毎年集めるのに苦労しています。このような制度は国など公の枠組みで保障することが大切です。
教員養成大学は支出の8割が人件費です。しかし、04年の法人化後、国立大学運営のための交付金は毎年1%ずつ削減されています。毎年10人くらいの教員を削ることになります。これ以上交付金が減らされれば、成り立たない講座も出てきます。大学の質の低下につながります。
教員養成は未来をつくる事業です。小中高の教育があってこそ、高等教育もあります。その小中高の教育を支えるのは教員であり、教員養成大学です。高等教育の危機は社会の危機といいますが、国立大学運営費交付金の削減はやめ、拡充をはかることが大切です。
(伊藤悠希、浦野恵子)
(日本共産党 http://www.jcp.or.jp/
機関誌「しんぶん赤旗」http://www.jcp.or.jp/akahata
2009.12.13.)
コメント