寮住まいを転々として、仕事が途絶え、
2009年12月9日 【 反 ★ 貧困 ! ! 】(今日の・7)
「貧困ビジネス」からの脱出
是正求め運動広がる
住居のない生活困窮者を助ける「無料低額宿泊所」を悪用し、生活保護費をむしり取る「貧困ビジネス」が問題となるなか、入所者を救い出したり、運営を是正させる取り組みが広がっています。
手元には2万円だけ
立川市
東京都立川市では、市内の宿泊所に入所していた男性(24)=札幌市出身=が日本共産党立川・昭島地区委員会と立川市議団の支援で、アパートへの入居を実現しました。
男性は高卒後、トヨタ自動車の期間工などで寮住まいを転々としていました。仕事が途絶え、立川市で生活保護を申請。あっせんされたのが宿泊所でした。
都の指針では、居室の床面積は1人当たり最低3.3平方メートル(約2畳)ですが、男性の部屋は、息の詰まる3人部屋で最低基準ギリギリでした。生活保護費月11万7800円から入所費用を引かれると、手元には2万1700円しか残りません。
携帯電話が料金滞納で停止となり、仕事を探しても採用されません。友人から「共産党は何でも相談に乗ってくれる」と言われたことを思い出し、党事務所に駆け込みました。上條彰一、堀江重宏両市議らが支援して、、11月からアパートへ入居。「おかげで、落ち着いた生活を取り戻せました」と男性。プリペイド式(料金先払い)携帯電話を持つこともでき、仕事をはじめています。
上條市議は、市内の宿泊所の一部で生活保護費を本人に直接渡さず、同意なしに宿泊所管理者に渡していた事例を調査し是正せよと市議会で追及しています。
実態ない「食費」9万円
北区
東京都北区の宿泊所「やすらぎの里十条」では、地下室には、体を起こすこともできないカプセルホテルのような「居室」があり、5万3000円もの家賃を取っていました。
床面積は基準以下で、地下の居室も都の指針違反です。
運営するNPO法人やすらぎの里は、隣の板橋区でも宿泊所建設計画が問題となって、住民や日本共産党の金崎文子板橋区議が調査し、実態が判明。これを受けて、北区も改善を指導。地下に宿泊させないことになりました。
北区生活福祉課の担当者は、「板橋区の住民や議員の調査で、ガイドラインに沿っていないことが分かったと東京都から連絡があり、事業者に対応を求めた」といいます。
共産党の八巻直人北区議は、同宿泊所に入所させられていた男性(22)の相談に乗り、アパートへの引っ越しを支援しました。実際には提供されていなかった食事の費用9万円も、事業者から取り戻しています。
党北区議団は、区長に対し「貧困ビジネス」の実体を調査し、是正させるよう申し入れを行っています。
増加する入所者
安定した雇用こそ
厚労省の調査によると、無料低額宿泊所は、2006年388施設1万2110入所者から、09年439施設1万4089入所者へと増加しています。(いずれも6月末時点)
都内の宿泊所はすべて1人当たり3.3平方メートル以上の床面積が確保され、食費に見合った食事が提供されていることになっていますが、実態はこれまで見たとおりです。宿泊所は届け出だけで開設でき、基準もあいまいで実効あるものになっていないことが問題だと指摘されています。世論や運動の高まりを受け厚労省内に検討チームがつくられ、基準見直しが始まっており、厳しい規制が求められています。
「貧困ビジネス」がはびこるおおもとには、旧自公政権によって社会保障の抑制や、大企業の「派遣切り」の横行など雇用破壊があります。
生活困窮者支援に取り組む市民団体などからは、困窮者が貧困ビジネスに頼らざるを得ない状況をなくすべきだと声が上がっています。公的な緊急宿泊施設の確保や失業給付期間の延長などの緊急策と同時に、大企業などによる雇用破壊をやめさせ、公営住宅や家賃補助による住宅保障によって、安定した雇用と住まいをつくりだすことを求めています。
(田代正則)
(日本共産党 http://www.jcp.or.jp/
機関誌「しんぶん赤旗」http://www.jcp.or.jp/akahata
2009.12.09.)
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