二十年前、二十五歳。 1
2009年9月30日 詩とか詞とか句とか歌とか、写真とか☆ コメント (2)二十四歳の秋、
失明を宣告された。
「あなたの目はもう“見えていない”状態です。
現代医学では治せません。
証明書を書くので、
これ持って役所へ行って手続きして、
障害手当をもらって暮らしなさい。
今すぐその仕事はやめなさい。
でないと、
もっと酷いことになってしまいますよ?」
親切な眼鏡屋の医者は、
痛くてまぶたも開けられない目で
「度が合わなくなったので新しい眼鏡を作ってください。」と
訪れた私を
二十分ほどかけて丁寧に診察した後、
痛ましそうな声でそう言った。
(もちろん痛くて目の開けられない私にその顔は見えないのだけれど。)
旧式のDVT。
緑の痛い光線。
つづく何度もの残業・残業・残業・
遅いくる「急ぎの直し」
「これ明日朝一番の会議に使うんだけどッ!」
「はい~っ!」と返事して
若かった私はがんばった、がんばった。
楽しかった。やりがいあった。
そして……
もう目が見えないなら、生きていて何になる??
極度のドライアイ。
こわれた涙腺。
乾いてひび割れて傷だらけになった角膜。
目薬さして、涙の代わりに
ぽたぽたぽたぽた
落ちきるまでに
片手で片目を押さえて
残る片目を0.5mm、薄く細く開けて
濃霧のなかの迷子のように濁りかすむ視界で。
手探りで荷物を詰めて
手探りで切符を買って
手探りで電車に乗って
手探りで……
大好きな北海道へ行って、
そこで死のうと思った。
コメント
どうもすいません。
★(^^;)”★