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 イスラエルの今を語る

 イスラエルでは二月の総選挙で伸張した右派リクードによる組閣工作が進められています。この選挙結果は顕著な右傾化を示しました。イスラエルの現状をどう見るか。各界で活躍する人たちに聞きました。
(テルアビブ=松本眞志)


 ユダヤ人ジャーナリスト
 ヨラム・ビヌルさん
 イスラエルのフリージャーナリストで元民間テレビ局「チャンネル2」コメンテーター。エルサレム生まれ、55歳。テルアビブ在住。



 政府宣伝信じ右傾化

 右派政党の伸張に示されるイスラエルの総選挙結果は、今日のイスラエル国民の感情を象徴しています。
 二〇〇〇年のアルアクサ・インティファーダ(民衆蜂起)以降、イスラエル国民のパレスチナに対する感情は変化し、右傾化の道をたどってきました。かつては政府の占領政策は国民のあいだで議論の対象とされてきました。二〇〇〇年以降、それが消えたのです。

 イスラエル国民は、インティファーダがパレスチナ解放機構(PLO)のアラファト前議長の指示で起きたとする政府の宣伝を信じました。このとき以来イスラエル・パレスチナ間の対立が決定的となりました。
 それまで私はパレスチナ人の被害をイスラエル国民に語ることができました。政府がいかにパレスチナ人を不法に殺害し彼らの家を破壊しているかを。
 しかし、今は国民の多くは「パレスチナ人をやっつけてしまえ」に変わっている。その空気は民族差別のにおいすら感じます。同じとはいえませんが、かつての南アフリカのアパルトヘイト(人種隔離政策)を想起させます。
 新極右政党「わが家イスラエル」の出現もファシズムの到来を予感させるものです。彼らは巧妙に国民を取り込んで勢力を伸ばしてきました。五年前からでしょうか。
 リベラルでとても好感のある友人が「私にアラブのことを朽ちにするな」と言うようになりました。彼らは「アラブの現実を知りたくない」というのです。

 ヨルダン川西岸の分離壁建設は非常にばかげた政策ですが、問題は、物理的な壁であると同時に、国民の頭のなかにつくられた壁にあります。同時に、パレスチナ人もユダヤ人に対して警戒を抱くようになり、以前のように自由に話ができなくなりました。
 国民がイスラエルとパレスチナの歴史を知ることができないのも大きな問題です。義務教育ではイスラエルが第三次中東戦争でパレスチナの土地を占領したことは教えません。
 ユダヤ人の二十代の若者と話をして驚いたのですが、彼らはパレスチナ自治区の存在さえ知らない。ヨルダン川西岸とガザ地区はイスラエル固有の領土だと思っています。
 義務教育での語学授業では英語が必修でフランス語、アラビア語は選択科目です。しかし、ほとんどのユダヤ人の生徒はフランス語を選択します。アラビア語は彼らにとっては「敵の言葉」なのです。
 相互の交流の断絶からくる不理解と憎悪の感情。これらは現在の国民の右傾化を助長しているのだと思います。


(インティファーダ)
 イスラエルの軍事占領に対するパレスチナ民衆の蜂起(抵抗運動)。一九八七年にガザ地区で起きた第一次インティファーダでは若者たちが投石で立ち向かいました。第二次印ティファーダは、二〇〇〇年九月に右派政党リクードのシャロン党首(当時)が、アルアクサ・イスラム寺院のあるエルサレム旧市街の「ハラムアッシャリーフ(神殿の丘)」を訪問したのをきっかけに発生。「戦争」行為ともいえるイスラエルの過剰な反応と、パレスチナ側の一部過激派による武力攻撃で悪化。その後三年間にパレスチナ側二千六百人以上、イスラエル側八百人以上の死者を出しました。


(日本共産党 http://www.jcp.or.jp/ 機関誌
「しんぶん赤旗」http://www.jcp.or.jp/akahata
 2009.03.25.)



>イスラエルの軍事占領に対するパレスチナ民衆の蜂起(抵抗運動)。

 たとえ「投石」という暴力行為を含むものであっても、パレスチナ等で行われた場合には同情的な立場をとる「赤旗」が、ことチベットにおいて中国共産党に対して行われる抗議行動に関してだけは非常に険悪な表現をとりたがるところに、私はやっぱり非常な違和感を「感じ続けなければいけない。」と、思うのですが……。


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