(090625未明入力)
 玄海原発
 動き出すプルサーマル ②

「近隣住民は蚊帳の外」



 棚田の先の玄界灘に夕日が沈む風光明媚な玄海町。人口七千人に満たない同町は、「町民の三人に一人が九電とその関連企業にかかわっている」といわれる「原発城下町」です。日本共産党の議席が四年前に空白となり、三年前に全会一致で町議会と町がプルサーマル計画を了解しました。


 原発関係者も

 MOX燃料が日本に到着する前日の十七日に、プルサーマル計画に反対する住民ら約七十人が町民会館で集会を開きました。
 主催した玄海原発対策住民会議の藤浦晧会長は、計画の危険性を指摘し、その進め方もトップダウンで住民の意思を無視したものだと批判。住民との対話を強めることを呼びかけました。
 集会後、参加したメンバーらが二人一組に分かれ、町内でビラを配布し、住民との対話を重ねました。「プルサーマルってご存じですか」。住民は「分かりません」「知りません」と繰り返すばかりでした。
 ある男性は「原発関係の仕事で反対の立場はとれない」としたうえで、「不安を抱えながら暮らしている。原発1号機は老朽化している。これ以上続けるのはいけない」と小声で話しました。


 「禍根を残す」

 一方、周辺十キロ圏内にある人口約十三万人の唐津市。年間、約八百八十万人の観光客が訪れます。うち約百万人の観光客が訪れるのが同市呼子町、漁港の町で朝市やイカが有名です。
 その呼子は、原発から直線距離で約五キロ。港で、休憩していた若い男性(29)は「おれらはどこも行けない。止められたらそりゃあ止めたい。とにかく、何も説明されていない、地震があったら恐いね」と表情を曇らせました。
 道路の端でイカを天日干ししていた人たちに聞くと、「本音は反対だ」という男性(59)は、「原発は目と鼻の先。観光客も多いし風評被害が心配。『安全』だといっている九電の偉い人や、県知事が真っ先に玄海町に住んでもらいたいね」と皮肉たっぷりにいいました。
「プルサーマルが何かをほとんどが知らされていない」という呼子町区町会の大森登至郎会長は、佐賀県や玄海町などに会として反対を申し入れています。
「いったん事故が起こったら、佐賀県どころか、九州全域に影響が広がる。住めなくなる危険性があるんでしょ。玄海町の隣の、呼子、肥前、鎮西も五キロ以内。十キロ以内にある唐津市内には玄海町の四倍の人たちが住んでいるのに、蚊帳の外。私たちも、原発立地の地元ではないのか。プルサーマルの実験台にしてほしくない。こんなものを残せば、子々孫々、末代まで禍根が残る」と話しました。

(つづく)
(「しんぶん赤旗」2009.05.25.)

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