(090619入力)
 法律
 一方的な賃金カット
 同意しないとだめですか?


 会社が「給料の2割カット」を一方的に通知してきました。従わないといけないのでしょうか。(神奈川県・K男)


【回答者 弁護士 佐々木 亮 さん】

 使用者は、賃金を一方的に引き下げることはできません。
 賃金は、労働契約のなかで決まります。労働契約とは、労働者と使用者との約束ですから、お互いの同意のない変更は無効です。ですから、あなたが同意しないのであれば、原則として賃下げはできません。
 ただし、例外として“就業規則の変更”によって、会社が一方的に賃金の引き下げをできる場合があります。しかし、この場合は「労働契約の不利益変更」ですから、労働契約法の要件を満たさなければ、変更はできません。
 就業規則の変更は、▽変更によって労働者がうける不利益の程度、▽変更しなければならない必要性、▽労働組合との交渉の経緯--などの諸事情を勘案し、その変更が合理的であると認められた場合は許されます。(労働契約法10条)


 --「降格」も打診されています。

 役職などの“降格”を賃下げの口実にするケースも増えています。
 その場合も、就業規則に「部長の役職手当は5万円」「課長は3万円」などの明確な規定があれば、役職手当のカットは労働契約の範囲内とされることもあります。しかし、そうした規定もないのに、降格だけを理由に賃金を切り下げることはできません。
 さらに、「労働組合の活動家だから」などという不当な理由に基づく降格は、人事権の濫用(らんよう)です。降格そのものが無効であり、賃下げも無効です。


 会社は「年俸制」を理由にしているようです。

 「年俸制」だとしても、それだけを理由に賃下げはできません。
 年俸制を取りながら、年俸制に関する就業規則のないケースがよくあります。この場合、労働者の同意のない賃下げは無効です。


 上司から呼び出されています

「あなたの給料はこうなるから、この紙に判を押して」などと迫られるケースもあります。判を押せば、同意したとみられます。即答せず「大事な問題なので、持ち帰って考えます」といいましょう。
 詳しい内容をもとに、労働組合や弁護士などにご相談ください。

 日本労働弁護団の
「労働相談ホットライン」
 電話03・3251・5363
(火・木曜日、15時~18時)も、
 相談に応じています。


(「しんぶん赤旗」2009.06.17.)

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