住居も収入もなく所持金もない。
2009年1月31日 【 反 ★ 貧困 ! ! 】(入力@090302)
生活保護法の「本来の姿」示す
「派遣村」への行政の対応 下
生活保護法が適正に運用されれば以下のようになります。
所管の福祉事務所に実施責任が
「住所」がなくても生活保護は利用できます。
生活保護法19条1項は居住地の無い者について、その「現在地」を所管する福祉事務所が生活保護の実施責任を負うことを定めています。
生活保護費でアパートや家財道具を確保することができます。
生活保護法30条1項は「生活扶助は、被保護者の居宅において行うものとする」と「居宅保護の原則」を言明し、施設などでの保護適用は例外であると規定しています。そして住居のない者に対しても、生活保護費からアパート等の敷金(保証金)、家具什器費、布団代、被服費などを支給することができます。
即日でも保護決定はできます。
生活保護法24条3項は、申請から原則として14日以内に決定しなければならないとし、同法25条1項は、急迫状況にあるときは、すみやかに職権で保護を決定しなければならないとしています。
したがって派遣村村民のように、住居も収入もなく所持金もないか僅少な者から保護申請があった場合には、迅速に保護決定をすることが法の求める本来の姿なのです。
失業者やワーキングプアも生活保護が利用できます。
働く能力があり、それを活用しようとしても働く場が得られない者は生活保護を利用することができます。したがって、派遣切りなどで職を失った失業者や低収入しか得られないワーキングプアも当然に生活保護を利用することができるのです。
厚労省は全国に周知徹底急いで
厚生労働省は、生活保護制度の本来の運用にかんし、通知を行うべきです。
以上のとおり、派遣村村民に対する生活保護の運用は「特別扱い」ではなく、法が本来予定する「あるべき姿」なのです。
3月までに40万人もの非正規労働者が職を失うといわれている現下の緊急事態の下で生活保護の窓口を閉ざせば、自殺や餓死などの悲劇が生じかねません。
そうした悲劇を生まないために、厚生労働省は、派遣村村民に対して実施された生活保護の運用こそ「法律本来の姿」であることを全国の福祉事務所に通知して周知徹底すべきです。また、各地の福祉事務所は、厚労省の通知を待つことなく、適正かつ積極的な生活保護行政を実施すべきなのです。
(全国公的扶助研究会 事務局長 渡辺潤)
(『しんぶん赤旗』2009.01.31.)
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