(記入@1月26日朝)

 アイヌの歴史をコミックで描く
 横山孝雄さん(71)

「北海道」と呼ばれる以前のアイヌモシリ(アイヌの土地)、豊かな森と川の大地が和人に侵され、アイヌの社会や文化が破壊される様をアイヌの側の視点で描きました。
 構想十六年、書きためたシナリオ千枚は漫画単行本六~七巻分という大作。そのうち第一巻『イ シカリ 神うねる河』(汐文社)が書店に並び、第二巻を執筆中です。
「民族の誇りを失わずにきたアイヌの姿を知らせたい」
 雄大な石狩川、飛翔するシマフクロウ-。心が吸い込まれるような描写です。余白の美しさを生かし、極細の筆で描き込む絵は、一日一ページ仕上げるのがやっとです。
 一九三七年、中国・北京生まれ。絵が好きな少年でした。漫画家となり、故赤塚不二夫さんのブレーンを務め、八三年に独立しました。
 つらい戦後の引き揚げ体験で「常に弱者の側に立ちたい」という思いを培いました。七〇年代に出会ったアイヌの青年に共感し、アイヌ復権運動へ。今回の作品はそのライフワークの集大成、「私の代表作かな」と思っています。
 妻、むつみさんは、『アイヌ神謡集』を著した知里幸恵のめい。ともにすすめる幸恵記念館建設運動の広がりに、日本人のアイヌへの意識の変化を実感します。
 文化の伝承で、民族意識を高めるアイヌの若者が増えているのが、希望です。「アイヌが普通にアイヌだといって暮らせる社会にしたい」と、穏やかに笑いました。

(文・写真 武腰 将弘)
(『しんぶん赤旗』2009.01.23.)

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