10時間立ちっぱなしでも残業代ゼロの会社。
団体交渉でタイムカード導入させた
組合ってかっこいい
食品スーパー「フレスコ」入社2年目で組合結成
大久保純平さん
「組合って何かも知らなかった」。まだ入社2年目の大久保純平さん(25)たちは労働組合をつくり、団体交渉を開始し、サッソクタイムカードを導入させるなど、職場に大きな変化をつくっています。
関西総局・小林信治記者
昨年4月に大久保さんが入社したのは、急成長を続ける食品スーパー「フレスコ」(本社・京都市)。関西に55店舗、従業員3千人の会社です。
夢と希望をもって入社したのに現実は-。
「朝7時に仕事を始めて10時間以上立ちっ放し。夜7時、8時まで働いているのに、タイムカードもなく、給料明細の残業代はゼロなんですよ」。疲れて帰って寝るだけの生活。疑問を持っても我慢するしかありませんでした。
本気で「何とかしたい」と考え始めたのは他店の様子を知るようになってから。「ボクはまだ恵まれていた。朝7時から夜9時、10時まで働かざるを得ない同期の人も」。同期入社70人余、その3分の1が希望を失い、退社していきました。
権利を学んで
店長に言ってもどうしようもない。労働基準監督署に一人で相談に行くことも考えました。インターネットで知った地域ユニオン「南の風」に相談したことで、思いが開かれていきます。
そこで紹介された全労連全国一般労働組合京都地方本部。すぐにでもなにかしたかった大久保さんでしたが、半年かけて「労働者の権利」などを学びました。
同地本の山懸哲也書記長は「何も知らなかった彼らは学ぶことで、“何とかしてくれ”というお客さん気分から、自分たちで組合をつくって会社を変えたいと、変わっていった」と話します。
今年5月7日、全国一般フレスコ分会を結成。本社へ行き分会結成の通告と要求書を読み上げました。
「余裕をもってと思っていたけど、会社幹部を前にすると手が震えて、それを見えなくさせるのに必死」でした。
応援と事件と
社員から応援がある一方、さまざまな事件も起きました。それを大久保さんはメモしていました。
--仕事中に「組合は本当にいいことなんか」と毎日、社員が訪ねてくる。多いときは20人。2時間も3時間も。新入社員を連れてきて、「“仕事を覚えたいから、もっと残りたい”とこの子が言っているのに、組合のせいでこいつが成長できへんやろ。今後不利益があったらブチ切れるからな」と脅してくる。
--休みの日に限って無言やいたずら電話。20回を超えた日もある。「会社にぐちゃぐちゃと、何してくれとんねん」と怒鳴られる。
大久保さんは「組合をつくるといろんなことが起きると学習してきたので、落ち込むことはなかった」と話します。
団体交渉で「こうした事実を会社が知った上で、まだ続くなら問題ですよ」と指摘し、会社も対応したので収まりました。1回目の団交から要求していたタイムカードも7月、導入されました。
時間勤務へ
揺り戻しも起きています。タイムカードが導入されても「残業社員は能力がない」とする会社の圧力で、実際に働いた時間より短い時間で打刻されているのです。
しかし「やって良かった」と実感する大久保さんたち。タイムカード導入で、“仕事のめどがつくまで働く勤務”から、ともかく時間を決めたシフト勤務へ変わりました。自分一人ではできなかったことが、組織として声をあげることで前進したのです。
耳にピアスが光る大久保分会長は、「まだ小さいけれど、パートさんを含めてみんなのことを考えられる組合になりたい」と決意しています。
「気持ちいいし格好いい。何より充実した生き方と思う。労働法っていうめちゃくちゃ強いカードを手元に置いたまま何もしないのは、もったいないよ。全国どこでも、声をあげればきっと変わる」。そう話す顔は自信にあふれています。
(『しんぶん赤旗(日曜版)』2008.10.05.)
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