(旧MIXI書き込み) 復活のグエン・バン・ヒュー。
2007年5月27日 ☆ 銀河 英雄 ☆ 伝奇 ☆(※この書込の初出はMIXI内の http://mixi.jp/view_community.pl?id=976834 です。
万が一、MIXIからクレームが来た場合には、MIXI内の当該書込のほうを削除します※)
(2007年05月27日 04:36)
☆(以下、原典「雌伏篇」第九章より)
宇宙暦七九八年、帝国暦四八九年の四月から五月にかけておこなわれたイゼルローン回廊の攻防戦…(中略)…の最終幕…(中略)…敗者よりもむしろ無秩序に追撃をつづけるグエン、アラルコン両少将の艦隊は、巧緻さと大胆さとの絶妙なコンビネーションによってつくられた罠のなかに引きずりこまれていたのだ。
「後背から敵襲!」
動転したオペレーターの報告が、同盟軍の勝利の夢を奪った。
(中略)
「主砲、斉射三連!」
ロイエンタールの命令一下、無慈悲な砲火が同盟軍の艦影に向けてたたきつけられた。光の剣が彼らを切り裂き、撃ち砕き…(中略)…炸裂する光芒の渦中で、グエン・バン・ヒュー少将は乗艦もろともこの世から……
★(以下、微妙にIF設定に突入)☆
……あわや消滅するかと思われた…(中略)…サンドル・アラルコン少将も、グエンより長生きできたとしても、五分か、せいぜい10分くらいであっただろう。
「あらたな敵艦隊です! 今度は多数、一万隻をこえます」
その報告がもたらされた時、戦場の生者は、ほとんどが勝者のみとなっていた。…(中略)…
「ヤン・ウェンリーご自身のおでましらしいな。」…(中略)…
こうして、戦艦ヒューベリオンに移乗したヤン・ウェンリーがメルカッツらとともに到着したとき、見出したものは、味方の艦艇の残骸と、遠ざかる光点の群だけであった。むろん追撃を命じたりはせず、ヤンは、生存者を救出してイゼルローン要塞に帰還するよう指示した。
★(以下、完全にIF設定)★
グエン、アラルコン両艦隊の生存帰還率は、実に0.5%を割り込む状況だった。そして瀕死の重傷を負い意識不明の状態とはいえ、無謀な追撃と悲惨な敗北との総責任者である艦隊指揮官が生存者のリストに含まれていたことは、むしろ死神の皮肉とでも言うべきであっただろう。
あまりに重篤すぎる戦傷からの原状回復が最前線基地たるイゼルローンの医療機関のみでは困難であると診断された者たちは、数週間を経てある程度の容態の安定を見た後、ハイネセンの高等医療機関へとまとめて移送された。
かくて、勇猛果敢をもって鳴らしたグエン・バン・ヒュー少将は、病院のリハビリ室の機具と看護師という難敵相手の戦場において数ヶ月にわたる苦闘を余儀なくされた。
そしてようやく肉体的な健康という貴重な領土を再奪取しえたその後、「指揮者の制止をふりきって無謀で無意味な追撃を行い、同盟将兵を無意味な死に導いた」なる罪状での軍法会議(ただし、これはただたんに「査問会」なる非公式な拷問の場からヤン・ウェンリーに逃げられてしまった連中の、腹いせの生贄に供せられただけなのでは、という説をまことしやかに主張する面々もあったが……)の裁定により、さらに数ヶ月にわたる軍刑務所での服役という屈辱に甘んじた。
それゆえマル・アデッタにも参戦かなわず「名誉の戦死」の機会を逸した彼は、規定の刑期が終わるや否や、一般兵や難民たちに混ざってエル・ファシル経由でイゼルローンの《不正規艦隊》に、勇躍復帰を申し出て来たのである……
その知らせを要塞事務監たるキャゼルヌがもたらした時、ヤンはかなり遅れた昼食兼夕食に、やっとありついたというところだった。
「グエンが? やれやれ……」
不正規部隊の「らしくない」司令官は、例によって愛用のベレーを脱ぎ、おさまりの悪い黒髪をくしゃくしゃとかきまわすと、帽子をかぶりなおして呟いた。
「ともあれ人手は足りなくて困ってるんですからね。准将に降格の上、メルカッツ提督の指揮下で良ければ、働いてもらおうかなぁ……」
「メルカッツ提督、引き受けて頂けますか?」
(^_^;)”
(著作権に配慮し、他者コメント省略)
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(2007年05月27日 04:36)
☆(以下、原典「雌伏篇」第九章より)
宇宙暦七九八年、帝国暦四八九年の四月から五月にかけておこなわれたイゼルローン回廊の攻防戦…(中略)…の最終幕…(中略)…敗者よりもむしろ無秩序に追撃をつづけるグエン、アラルコン両少将の艦隊は、巧緻さと大胆さとの絶妙なコンビネーションによってつくられた罠のなかに引きずりこまれていたのだ。
「後背から敵襲!」
動転したオペレーターの報告が、同盟軍の勝利の夢を奪った。
(中略)
「主砲、斉射三連!」
ロイエンタールの命令一下、無慈悲な砲火が同盟軍の艦影に向けてたたきつけられた。光の剣が彼らを切り裂き、撃ち砕き…(中略)…炸裂する光芒の渦中で、グエン・バン・ヒュー少将は乗艦もろともこの世から……
★(以下、微妙にIF設定に突入)☆
……あわや消滅するかと思われた…(中略)…サンドル・アラルコン少将も、グエンより長生きできたとしても、五分か、せいぜい10分くらいであっただろう。
「あらたな敵艦隊です! 今度は多数、一万隻をこえます」
その報告がもたらされた時、戦場の生者は、ほとんどが勝者のみとなっていた。…(中略)…
「ヤン・ウェンリーご自身のおでましらしいな。」…(中略)…
こうして、戦艦ヒューベリオンに移乗したヤン・ウェンリーがメルカッツらとともに到着したとき、見出したものは、味方の艦艇の残骸と、遠ざかる光点の群だけであった。むろん追撃を命じたりはせず、ヤンは、生存者を救出してイゼルローン要塞に帰還するよう指示した。
★(以下、完全にIF設定)★
グエン、アラルコン両艦隊の生存帰還率は、実に0.5%を割り込む状況だった。そして瀕死の重傷を負い意識不明の状態とはいえ、無謀な追撃と悲惨な敗北との総責任者である艦隊指揮官が生存者のリストに含まれていたことは、むしろ死神の皮肉とでも言うべきであっただろう。
あまりに重篤すぎる戦傷からの原状回復が最前線基地たるイゼルローンの医療機関のみでは困難であると診断された者たちは、数週間を経てある程度の容態の安定を見た後、ハイネセンの高等医療機関へとまとめて移送された。
かくて、勇猛果敢をもって鳴らしたグエン・バン・ヒュー少将は、病院のリハビリ室の機具と看護師という難敵相手の戦場において数ヶ月にわたる苦闘を余儀なくされた。
そしてようやく肉体的な健康という貴重な領土を再奪取しえたその後、「指揮者の制止をふりきって無謀で無意味な追撃を行い、同盟将兵を無意味な死に導いた」なる罪状での軍法会議(ただし、これはただたんに「査問会」なる非公式な拷問の場からヤン・ウェンリーに逃げられてしまった連中の、腹いせの生贄に供せられただけなのでは、という説をまことしやかに主張する面々もあったが……)の裁定により、さらに数ヶ月にわたる軍刑務所での服役という屈辱に甘んじた。
それゆえマル・アデッタにも参戦かなわず「名誉の戦死」の機会を逸した彼は、規定の刑期が終わるや否や、一般兵や難民たちに混ざってエル・ファシル経由でイゼルローンの《不正規艦隊》に、勇躍復帰を申し出て来たのである……
その知らせを要塞事務監たるキャゼルヌがもたらした時、ヤンはかなり遅れた昼食兼夕食に、やっとありついたというところだった。
「グエンが? やれやれ……」
不正規部隊の「らしくない」司令官は、例によって愛用のベレーを脱ぎ、おさまりの悪い黒髪をくしゃくしゃとかきまわすと、帽子をかぶりなおして呟いた。
「ともあれ人手は足りなくて困ってるんですからね。准将に降格の上、メルカッツ提督の指揮下で良ければ、働いてもらおうかなぁ……」
「メルカッツ提督、引き受けて頂けますか?」
(^_^;)”
(著作権に配慮し、他者コメント省略)
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