【 第七夜 】 「苛烈怨恨呪…の物語」。 (臨時作業中)
【 第七夜 】 「苛烈怨恨呪…の物語」。 (臨時作業中)
【 第七夜 】 「苛烈怨恨呪…の物語」。 (臨時作業中)
(…番組の途中?ですが、明日が締めきり!なのに

 昨夜は「書けなかった」ので…(^^;)…

 予定を変更しまして…★www)


===============
https://85358.diarynote.jp/201909162006056669/
の、続き。


【 第七夜 】 「 苛烈怨恨呪 の物語」。




     ◇




「これらは概ね第5~7次元界に属する知識と概念を、皆様がた今現在3.5次元あたりの言語使用者に理解可能なよう、かなりむりやり平易に意訳と超訳をいたしておりますので、表現が大づかみすぎる、あるいは曖昧だという点に関しては、御容赦願います。」

 開かれた情報媒体の冒頭、ジョゼと呼んでくれと自称した男は、そう述べてまた深々と気取った礼をした。

「《 苛怨樹(カエンジュ) 》または《 苛烈怨恨呪 》とも称される、別称《 苛星 》の件ですが、その発見と解明の歴史は…」




     ◇



 銀河星雲系内各文化圏において一般に《 先史文明 》と呼ばれている謎の超古代・超高度物質技術文明の滅亡原因については三次元世界の現時点においては未解明であり解説は控えるが、その衰亡期、とある辺境星域に《 灰色星 》と呼ばれる平凡な惑星があった。

 住民の大半は能力の劣る亜人であったが、一部には先史文明における権力階級であった《 超人 》たちの脳力特徴を色濃く受け継いで生まれてくる、いわゆる《先祖返り》の子どもたちが存在し、《灰色族》と尊称された。

 歴代最高の神通念動力を持つと称えられた灰色文明末期の《 巫女姫 サワラソウェン 》は、しかし辺境素民階級の出自のゆえに政治力には劣り、権力闘争に敗けて悲惨な最期を遂げた。

『 その恨み、天をも揺るがし、星、滅びたり 』と、古文献には残る。

 悲嘆と絶望は周囲のすべてをまきこみ、瓦解した惑星において突然の死に陥れられた多すぎる魂の多くはその哀しみと苦痛と怒りの激しさから自我を失い、近隣諸域からも総出で救援に向かった《転生管理委員会》の必死の救出転生作業も間に合わず。

 その一瞬にして滅した肉体に宿っていた魂魄亡者群の大半は、《 星 》と概念されていた架空の重力井戸に囚われたまま、史上最大級に近い規模の《 呪縛霊体 》と堕した。



     ◇



《 疑似惑星 》に近い規模の霊的宿体を持つがゆえに、その存在は《 転生管理委員会 》の直接干渉下からは離れた。

《 死星 》の表面から芯の奥にいたるまで、すべからく充満する恨み辛み哀しみ怒り絶望と痛苦の邪波動は周辺星域に被害をもたらした。

 怒りと嘆きのままに生命魂魄の溢れる宙域へ、まるで意思あるもののように吸い寄せられては、その地その星のすべての魂を穢し陥れて滅した。

 すべての幸せなる者を憎み妬み凍結させ、滅した。

 その《 苛死星 》は怒りと嘆きと哀しみに任せ気狂いのまま徘徊し、周回した…



     ◇



 被害として。

 いくつもの星雲や星系で当代の文化文明が滅び代表人類が滅した。

 《 苛星 》が近づく際の兆候としては、まず《 異能 》や《 超常力 》と呼ばれる念動精神力の強い子らと、またそれらの存在を強く憎む我欲が強い者たちが多く生まれ、彼我の軋轢が生じ、後の世に《 神と悪魔の闘い 》や《 魔女狩り 》と語り伝えられた大規模な悲劇が多く生じた。

 さらに《 苛星 》が近づくと、魂ある者はみな《転生過去全史上における最も悔恨に満ちた苦痛の記憶の再現》の悪夢に囚われ、正気を喪失し、狂乱のままに自滅し、その魂の多くは《転生管理委員会》の救出の手が及ばず、そのまま《 苛星 》に同化し、《怨恨集積体》の一部と化した…



     ◇



「…《転生過去全史上における最も悔恨に満ちた苦痛の記憶の再現》…?」

 じつに嫌そう~な顔で、一同各々が呟いた。

「…物理的距離的に、接近すると、惹起される現象、ということですな…」

 ダーナー艦長がまだ赤かった眼を怒りに燃やしながら、悔しげに鼻を鳴らした。

「早急に、回頭回避行動に移ります。御許可を、ソレル女史?」

「お願いします。被害の及ばない一定の距離を保って《目標星》の周回軌道に固定を」

「了解しました」

 サキ・ランやリールを初めとして、航宙技能持ちで今まだ精神的に「動ける」者らは皆一斉に艦長を補佐するべく、一旦退室した。

 居残った少数の者は、ジョゼの映像の続きを先に観続けていた…




     ◇





コメント

最新のコメント

日記内を検索