第五夜。 「 歌者と戦士の物語 」。 (仮題)
2019年9月15日 リステラス星圏史略 (創作)https://85358.diarynote.jp/201909082036534486/
の続き。
◇
彼女も夢を視ていた。
遠く離れた辺境探査艦内で、親しい人たちの間で何やらささやかだが奇妙な異変が起きている、らしい、ということだけは他の知人の乗組員たちから、そこはかとなく仄聞していた。
肝心の一番親しい仲間たちときたら、いつものごとく、例によって、…だ。
「心配かけたくなかった」とでも言い訳をするつもりだろう。
当たり障りのない日常の連絡報告ごとしか、通信を、寄越さない…
遠く離れた艦艇に、自分も追いつく夢を視た。
もちろん自分は科学者ではない。乗っても艦内で担える任務はない。
こちらに自分の役割はある。ソレル女史の留守を守り、有り余る資産と人財を管理し、後継者たちを育て、国際間・企業間などの大規模なトラブルの仲裁に入り、名代として会議や行事にも参加し、親善親睦を図り…
けして、置いて行かれたわけではない。役割が、別だったのだ。それだけだ…
けれど淋しかった。ずっと寂しかった。いつもいつも、日々に、日ごとに、
虚しさばかりが募っていった…
◆
ふと気づくと、夢のなかで自分は筋骨隆々たる流浪の戦士だった。
傭兵というやつだ。
まるで若い人たちの好む迎夢の世界のようだわと、くすりと笑った。
そこまではエリーも(これは夢ね?)と…、自覚していた。
◆
自分は戦士だった。
恋人は、吟遊詩人だった。
美しく、儚く、薄幸で、苦労して…
傷ついて。
自分が護ってやりたいと思った。守れると、思いこんでた。
傷つけた。
そんなつもりでは… なかった。
恋人は逃げた。うろたえる自分から。
すぐに戻ると思って待った。動けばすれ違いになってしまうと。
戻って、来なかった…
待って、待って、待った。
それから、追った。
追って、探して、追い求めて、
…恋、焦がれて。
再会できたら、再会できさえしたら。
どんなことをしても詫びようと。跪いて、赦しを請おうと。
追って、追って…
探し、求めて…
そして。
◆
冷たい屍を、自分は見つけた。
恋人は、自分を、待っていたのに…
すぐ、追ってくるはずと、すぐ、近くで…
待って、いたのに。
◆
追うことをためらった、面倒がった。
自分を、待って。
恋人は、自分のいた、すぐそばで。
冷たい冷たい、骨に…
骨に、なっていた。
◆
彼女…エリザヴェッタは、慟哭しながら撥ね起きた。
自分は…また!
同じ、失敗を…!
しようとしていた、のでは…ッ??
◇
跳ね起きて、即、願望を。
行動に、移していた…
の続き。
◇
彼女も夢を視ていた。
遠く離れた辺境探査艦内で、親しい人たちの間で何やらささやかだが奇妙な異変が起きている、らしい、ということだけは他の知人の乗組員たちから、そこはかとなく仄聞していた。
肝心の一番親しい仲間たちときたら、いつものごとく、例によって、…だ。
「心配かけたくなかった」とでも言い訳をするつもりだろう。
当たり障りのない日常の連絡報告ごとしか、通信を、寄越さない…
遠く離れた艦艇に、自分も追いつく夢を視た。
もちろん自分は科学者ではない。乗っても艦内で担える任務はない。
こちらに自分の役割はある。ソレル女史の留守を守り、有り余る資産と人財を管理し、後継者たちを育て、国際間・企業間などの大規模なトラブルの仲裁に入り、名代として会議や行事にも参加し、親善親睦を図り…
けして、置いて行かれたわけではない。役割が、別だったのだ。それだけだ…
けれど淋しかった。ずっと寂しかった。いつもいつも、日々に、日ごとに、
虚しさばかりが募っていった…
◆
ふと気づくと、夢のなかで自分は筋骨隆々たる流浪の戦士だった。
傭兵というやつだ。
まるで若い人たちの好む迎夢の世界のようだわと、くすりと笑った。
そこまではエリーも(これは夢ね?)と…、自覚していた。
◆
自分は戦士だった。
恋人は、吟遊詩人だった。
美しく、儚く、薄幸で、苦労して…
傷ついて。
自分が護ってやりたいと思った。守れると、思いこんでた。
傷つけた。
そんなつもりでは… なかった。
恋人は逃げた。うろたえる自分から。
すぐに戻ると思って待った。動けばすれ違いになってしまうと。
戻って、来なかった…
待って、待って、待った。
それから、追った。
追って、探して、追い求めて、
…恋、焦がれて。
再会できたら、再会できさえしたら。
どんなことをしても詫びようと。跪いて、赦しを請おうと。
追って、追って…
探し、求めて…
そして。
◆
冷たい屍を、自分は見つけた。
恋人は、自分を、待っていたのに…
すぐ、追ってくるはずと、すぐ、近くで…
待って、いたのに。
◆
追うことをためらった、面倒がった。
自分を、待って。
恋人は、自分のいた、すぐそばで。
冷たい冷たい、骨に…
骨に、なっていた。
◆
彼女…エリザヴェッタは、慟哭しながら撥ね起きた。
自分は…また!
同じ、失敗を…!
しようとしていた、のでは…ッ??
◇
跳ね起きて、即、願望を。
行動に、移していた…
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