(ここから続く。⇒ http://85358.diarynote.jp/201708252306377374/

https://www.youtube.com/watch?v=iqu132vTl5Y
Ace of Base - The Sign (Official Music Video)



 さてそこから追いかけて追いつめて。

 執着地点の大きな天球室(プラネタリウム)へてんでに飛びこんだ頃にはあたし達、四人だけになっていた。

 海賊どもの数もぐんと減って、もう十人とはいない。

 ただし最後まで生き残った連中というのは、おそらく首領と側近で、当然それだけウデもたち…

「ああも、ちょろちょろうっとォしい!」

 喚くなり、楯にしていた座席の列からレイが飛び出してしまったのは止める暇もないことだった。

 パパパーーーーーーッ!!

 あっというまに火線が集中するのを信じられない程の跳躍力で横っとびにころげこみながら、かわしきる。

 数度のジャンプで壁の非常口に飛びこんだ彼女のあとには、黒々と、炎をあげてくすぶっている椅子の残骸の列がのこった。

「…う~~~。造ったばかりだっていうのにっ」

 サキがうなる。

「ほらよ! 全員、銃を捨てな!」

 本当にどこをどう通り抜けるのか。

 天球室の向う側へ不意に現われた青い髪の姿は、仁王立ちになった隙だらけのポーズで足元に向けて銃を構え…

 その下には。

 海賊どもの首領と覚しい男が、腹這ってこちらめがけて撃っていたそのままの無防備な姿勢で、恐怖にひきつっているのだった。

「…レイ! 殺すなよ!」

 油断なく銃は構えながらも素速く立ち上がってサキが叫ぶ。

「殺すんじゃないぞ!」

「 いやだね。」

 大股に近づいて行く相棒(サキ)を見降ろしてレイは冷ややかに眉を上げた。

「例え知らずにであろうとあたしらのエスパッション号に体当たりをかました上、ドンパチ沙汰まで引き起こしてくれたんだ。ミノとグラオンは重傷だ。

 こいつらのせいで怪我を負った子供(チビ)どものなかには、あんたお気に入りのリアラもいたと思ったけどね!」

「レイ!」

「首領にくらい、責任をとって貰おうじゃないか」


 そう…

 散開している敵方のうち一番の高処にその男は位置していたのだった。時折り何かしらの指示を叫びながら。

 だからこそ、レイは男を撃ち殺したあとで残った海賊たちをやすやすと根こそぎにしてしまえる筈なのだ。だからこそ、彼女たちは男を首領だと思いこんだのだろうけど。

 首領が息をしている間は自分が撃たれることはないだろうと、下から見上げる手下どもに全身を無防備にさらしてレイは立っている。止めようと立っているサキも同じだ。ふたりとも、海賊たちの微妙な感情の動きには気づかない。

 ああ、もう!

 いくら急場のこととは云え、一緒に戦うなら、対手の情報くらい与えておくんだった…

 なんて、後悔しているヒマもない。

 あたしはロルーに囁いて、椅子の列のなかを移動しはじめた。





https://www.youtube.com/watch?v=wh-07BzfgYY
Ace of Base - Beautiful Life (Official Music Video)


欄外に

 リ・ステーラルリアナ

って書いてある。

「あんたお気に入りのリアラ」ちゃんの本名とおぼしいが、

どんなキャラだったか印象が薄い。(^^;)

(「サキのお気に入り」という時点でレイの「お気に入らない」のは間違いないw)

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