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2017年8月25日 リステラス星圏史略 (創作) コメント (1)ここはこの基地のおそらく第一区画(エリア)、中央集会室。
船の規模からすればずいぶん小さめのサイズなんじゃないかしら。
ちょうど小学校(エレメンタリー)のプレイルームといった部屋に、隣の食堂室らしいのをぶち抜きにして、今は人間でごたごたしている。
その大部分が、子供。
赤ン坊から13~4歳くらいがせいぜいの、賑やかこの上ない集団。
ごくわずかな保母(ナース)と、研究屋ふうの白衣の大人たち。
海賊の危険のまっただなかだというのに、そこは清潔で、おだやかで、安全で…
護られている、という信頼感が、どこかにあった。
「…それじゃ、」
と、へらへら笑いながら立ち上がってロルーがむこうを向く。
「彼女を頼みます。私はそろそろ戦列に戻りますので。」
「あら。」
あたしが、なんですって、この" 走りっぱなし"アリーさんを後方送りにしとこうって言うのっ!
…と喚きたてるだけの元気をとり戻すひまもなく。
金髪美人がのたまった。
「まぁそんな事おっしゃらずに御一緒にいらっしゃればよろしいのに」
「は?」
上品(ハイ・クオリティ)にも無邪気なお誘いに、さしものロルーでさえ途惑った声、だしたわよ。
「いまお茶の仕度をしていますのよ。地球風の手沸かしのものですから、リスタルラーナのかたにはお口に合わないかも知れませんけれど、」
………きゃん♪ 地球風のお茶っ!? ♪♪♪♪
…などと、思わず喜んでる場合じゃあ、ないっ!
「…ぢょっと、はなたっ!」
とび起きて喰ってかかる。と、やっぱまだ、声が涸れてる。わよねぇ。
「アリー!? 気分が悪いんじゃ、」
「はん。なめないでよね。地球人の回復力。」
実際あたまはメチャ痛いわけ。じろりと不機嫌にロルーにはイチベツをくれて。
ひと息にまくしたてた。
「…あなた、」
「 エリザヴェッタと申しますわ。」
「ミズ・エリザヴェッタ。言わせて貰いますけど、現在の状況が把握できてらっしゃるのかしら。
ここは他に救けをたのめない盲目宙域のド真ン中で、この基地は噴射管(ノズル)をやられて現在航行不能のはずです。
ベースジャックをもくろんでいる海賊の数はだいぶ減らしたとはいえまだ約40名。
対する我々は戦闘要員わずか9名。
うち2人はあなた方のお仲間の、まだ少女(こども)ですわね。
それが、一番の激戦場で白兵戦やってるんですよっっ!!」
ぜぇぜぇはぁはぁ。
救けに行かなくても心配じゃないんですかっ!
叫びたかった。
もはや連邦警察(テラズポリス)警部としての義務以上にあたしはこの正体不明(わけのわからない)船に興味をひかれているもの。
サキ…。
無事かしら。
つい今だって撃たれかけていた、灰色の髪の不思議な少女(こ)。
………にっこりと、金髪美人は笑った。
「大丈夫。レイが行きましたでしょう?
あの二人がそろえば、たいていの修羅場は、切りぬけて帰って来ますわ。」
………うっとォ。…全幅の信頼。
一瞬、年下のはずのその美女の、あまりにも母親然とした笑顔…誇らかで、愛情に満ちて…に気圧されそうな気もしたけれど。
「…冗っ談じゃないわ! そこらの喧嘩とは危険の度合いが違うのよっ!」
サイドテーブル、ひとつぶん殴って、まだすこしふらつく足で寝椅子から立ち上がった。
「…アリー。…あ”~~~」
「そんな顔してもあたしも行きますからねロルー。
ディーム達の位置は判って?」
「非常部隊(レインジャー)の皆さんなら、今、それぞれの部署をはなれて船尾方向へ移動中です。」
答えてくれたのは壁際の操作卓(コンソール)で美人に代わって映話のモニターをしている、愛らしい茶色の瞳の少女だった。
「サキから言われたので、あたしがそう指示を出しました。」
「そう、ありがとう。ロルー、行くわよ!」
「やれやれ…」
「早目に戻っていらして下さいね。お茶うけに洋なしのタルトを焼きましたのよ。」
…ずるっ…。
ヘルメットひっつかんで駆けだすうしろで、金髪美人はおっとりと、湯気のたつお茶を淹れていた。
…
コメント
…あ”~…w(^◇^;)w…☆
言われて(?)みれば、たしかに…?
アルパカ狼さんだわ?⇒エリーさん。…??
…w(^◇^;)w…☆☆