https://www.youtube.com/watch?v=yRh-dzrI4Z4
Pirates of the Caribbean - He’s a Pirate (Extended)

これに追加しましたー☆
  ↓
http://p.booklog.jp/book/116540/page/3166094
"エスパッション" ・シリーズ Vol.0
ブラインド・ポイント!-連載第2回-

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「………危ない!」

 叫びはむなしくヘルメットに反響した。

 ひとりが巧妙にサキの死角をとらえている。

 勝ち誇ったようにゆるゆると構えた銃の腕をのばす。

 サキは近くにいる奴らに気をとられて注意を向ける余裕がない。

 突嗟に痺れた手で撃っても、この距離ではあたしの衝撃銃は何の役にも立たなかった。

「はなしてよ、ばかっ!」

 ひとりで喚いてロルーの肘を蹴る。

 海賊のトリガーにかかった指にぐいと力がこもるのが、おかしいほどにくっきり目に焼きついて見えた。

「…サキ! きゃああっ!!」

 どのみちここからでは何もできはしない。

 その時、見覚えのある銀光色…微妙に虹色のかかった…が、さっきの数倍の輝度であたりを照らしだす。

 …光の神(アフラ・マズダ)。

 地球の真昼のような明るさ。

 一瞬、誰もがひるんだ。

 銀光は船のそちこちに羽を休めたホタルか、それとも無数の半球形をしたオーロラの群れのようだった。

 船殻に厚く付着した粒子層に激しく反応して鮮やかな光彩を放ちながら、輝やくシャボン玉は見るみる間に広がり、互いに融けあい、すきまなく覆いつくす。

 見事に幻想的なイルミネーションだった。

 光暈はあたし達をさえ包みこみ、追いこして、巨大な基地全体を繭のようにとりこめ…

 船殻から100mほども向うにまで展開して、フィールドは穏やかな銀紫の炎舞となる。

 その間、40秒ほども経っていたのだろうか。

 あとに残されたのは澄みきった… ソルテーン粒子流の細やかなきらめきのない… まっさらの真空空間だ。

 …バリアー… エネルギー転換。

 通信。

 サキの言っていたことを思いだす。

 あたしは叫び、同時にロルーの腕からレイガンをひったくっていた。

# サキ、後ろっ! #

 案の定、彼女ははじけたように振り向きざま身をよじり、その頬すれすれを熱線銃の鈍い輝線が通過し。

 レーザー光は真っ直ぐに収束したまま海賊の銃を一瞬にはねとばした。

# へえ。あんたわりかしいい腕してんじゃないか #

 通信機に割りこんで来たのは青っ毛の生意気なレイだった。

# サンクス。救かったよアリーさん。

 レイ、バリアの出力あげすぎなんじゃないか? #

 再び忙しくドッグファイトをはじめながら、悠長にサキは言う。

# 悪い。ケイが新手の増幅法おもいついたのさ。それで遅れた。 #

 ひょいと気軽に相棒も混戦に跳び込んで行ってしまった。

# ちょ、ちょっと! ロルー! あの無鉄砲なガキども何とかしてよっ!

 あたしなら大丈夫………っ 」

 …うっ。

 絶叫しちゃうと視界がブラック。

 息苦しい。

# 酸素残量0で何を言ってるんですか。あなた気力だけで喋っているんでしょーがっ #

「だって素人ふたりで戦わせておくわけには」

# プロですよ。あの娘たちは。同類項は見れば判る。#

「どういうこと」

# そんなことより、早く! #

 まだ往生際悪くもがいている後ろでエアロックは閉まり。

 だらしなくも…

 ………あたしは、意識を失った。





          - 続く。-


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