ロルー刑事、ディーム班長、非常部隊(レンジャー)の乗員(クルー)たちと、仕方がないので全員が銃を放り出す。

 すると何を考えたのか青い髪の奴がつかつかと、一番先行していたディームの眼へ歩みより…

 いきなり、張り飛ばした。

「ぅわっ!!…」

 大の男が横ざまにぶっ倒れる。

 うっそォ…

 だって青い髪(あいつ)、背ばかりはひょろりと高いけど、ずいぶんと瘠せて見える…

 のに。

「連盟保安局に化けて来るなんざ、まったく度胸のいい真似をしてくれたじゃないか、えぇ。わざわざ海賊船と鬼ごっこのフリまでして。

 奈辺(どこ)の指し金だ!? それとも、おまえら自身の計画かよ。」

「へっ。…」

 ………え?

「ばっくれるもんじゃないぜっ!」

 ディーム、起き上がるところを、もう一発っ

「で~~~っっ」

『なにをするのよっ!?』

 やっとあたしは叫んだ。

 かわいそうに。むこう三日は口も開けられないほど腫れるに違いない。

「こらこらレイっっ! またすぐ過激にはしるっ」

「……ちゃんと素手で殴ってるだろーが。」

 物騒きわまりなく光をはじく金色の瞳が不満そうに、だけどすこし和んで、あたしの後ろのコに向けられた。

「ひとりふたりブチ殺したところで文句つけるのはサキ(あんた)くらいのもんだぜ。」

 どうやらリーダー格は青い髪の方ではないらしい。

 レイと呼ばれた奴(の)があたし達の武装解除を手際よく確認して歩くあいだに、ホールドアップさせられたまま首をひねって、あたしは" サキ "とかいう方を睨みつけた。

 女としては平均身長のあたしよりも頭ひとつばかりは背が高い。

 見慣れない淡灰色の不思議な髪をふさふさした長めのポニーテールに結って、それとは別に斜めわけにした前髪が顔の左半分に深く…ほとんどあごを越すあたりまでかかって、片方の眼をうすくぼやかしている。

 あでやかに光を吸いこみ放つ、右側だけの明るい灰色の瞳。

 見事に均整のとれた腰細のプロポーション。

 落ちつきはらって、よほど場数を踏んだらしい、毅然とした態度。

 ………そうね。

 これなら実際、あと10年もすれば、たいした女海賊に、それとも大頭目にだってなれるかも知れない。

 だけど…

 今現在、このコをどう見たっても、未だに16~17歳の小娘なのよ!

 どんなに引き締まった体格を誇ろうと、頬や肩には子供こどもした線の細さが残っているじゃないのっっ!!

「…う~~~っ。」

 この" 走りっぱなし "アリーさんが、ガキに後れをとるなんてっ!

 と、あたしはよほど凄絶な顔をして睨めていたに違いない。

 こういう状況下だというのに不謹慎にも、ロルー刑事が人の表情を見て吹き出した。

「…アリー…。 あなたって火は……っ」

「…あなたも睨んであげましょうか?」

「いや…失礼…」

 くっくっくっくっくっ。

 …え~~~い、このっ!!


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