https://www.youtube.com/watch?v=qA8qWMHmR_s&list=PLwijtPhLBkg0SuGEn-YnDr71GSJEi-Txk&index=13
03 - 冨田勲 - 救世主伝説

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 リサーク,ケティア、対地球 全権大使はそんな有り様をけして忍耐強いとは言えない性格を圧さえてひたすら傍観していた。

 母星の利益代表として星間連盟(リスタルラーナ)政界では早くから切れ者で通していた女性である。

 燃えるような特徴的な緑の髪を首筋でふっつり切り揃えて、いつでもその群青の瞳で真っ向から相手を見据える。

 齢は、二十六という若さだったが、優秀な人材の早期の教育完了と就業を旨としているリスタルラーナにあっては、もはやベテランと呼ばれる辣腕家なのであった。

 事態は、ほぼ膠着している。

 母界を出る時の徹底的な調査によるコンピューターの勝率は75パーセント。

 百ではない。

 常に失敗の可能性は有り得るのだ。

 彼らリスタルラーノが把握した地球人の精神特性というものは多様性に富み、喧嘩ぱやくて情熱的、進取の気風と…同時に、思想的な仲間や血縁との結束が固く、内へ内へと集まる風潮がある。

 まったくの異族である彼らを受け容れるだろうか?

 せめて… もう少し派手に宣伝行為のできる機会があればよいのだが。

 彼らが提供し得るのは進んだ技術と知識。

 そして、彼rらはこの星の人々が未だ知らないエネルギー鉱の、採掘権が欲しい。

 どうしても必要なのだ。

 ……我慢、し切れず、とうとう彼女は与えられた個室のなかで立ち上がった。

 行動は自重するように、と連邦首人から言い渡されてはいる。

 おそらく行政議会の議場と宿泊施設のあるこの建物からは出させて貰えないだろう。

 しかし…

 この、中でなら。

 勝率を上げる、チャンスは自分で作るものだ。

 彼女は部屋の出入を監視する装置を豆粒ほどの機械1個であっさり殺し、緊張した微笑みを浮かべて、大芝居の舞台を探しにと、秘かに廊下へ滑り出た。

 まだ、会議は続いている筈である。




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