https://www.youtube.com/watch?v=kHTPqAxEBuc
【作業用BGM】猫又ケルトが聴ケルトきいて。
んじゃ。(^^;)
コレは先週で「試合終了」したので…
↓
http://estar.jp/_ofcl_evt_outline?e=151279
『 マンガボックス 原作賞 』
作業用の曲と中味がイマイチ合ってないかも知れませんが、
古原稿「発掘」の続きに戻り鱒よ~☆彡
(やっぱ曲が作業に合わないわ…こっち?)
https://www.youtube.com/watch?v=7X_KcZkRbUg
09 - 冨田勲 - 風になびく大草原の笛
===============
(エスパッションシリーズ・番外)
未来伝承
by 遠野真谷人
それは、正体不明の一隻の航宙船が地球系連邦(テラザニア)の辺境星域へと出現(ワープアウト)した、その日…
まだこの高地平原では浅い春の、やわらかい陽射しを浴びるサンルームで、彼女は表へ出ることもかなわず揺り椅子に縛りつけられていた。
手には祈り像。しかし何を未来視(さきみ)したいというのでもない。
ただ、書を読むことすら医療師に禁じられた生活にあっては、漠然ともの想い、信仰する自然の諸神に一族と、そして他の民をもの平安を祈願して暮らす以外、毎日を費(つか)い潰すすべが無いのであった。
ガラス越しに見上げる空は、わずかにかすんで、青い…
かつて二万の民をたばねて神事を司さどった、あの抜けるような蒼天は再び戻りはしないのだ。
周辺諸族の尊崇をも一身に集める斎姫にして族長。
彼女も、いまは病(やまい)おもく文明の庇護の下におかれる、力弱い一人の女性に過ぎなかった。
窓の外で風が鳴る。
澄んで冷たい、黄金色の草原の風が。
揺り椅子のなかでわずかに上体をかしげる。
二人目の子を身籠った。けれどその体は驚くほど肉が落ちて、細い。
元来が長女を産んだ時にも無理だと言われた。一族特有の頑固な不妊傾向は繰り返されてきた親族婚のため。その族長をも、むしろ純血種であるが故にこそ、見逃す筈がない。
その、閉鎖性、排他性に民族としての先細りの将来を見越したからこそ、彼女は長(おさ)として部族の解散を宣言したのである。
もはや掠奪の手から神殿を護るべき、暗黒時代ではなくなった…と。
予言と、彼女自身の意志の力により。
最終戦争と呼ばれる前文明の崩壊からようやく一千年の月日が流れ。世界は再び、星々へ向かってさえその束ねられた一本の腕を伸ばそうとしていた。
表向き、彼女の部族、彼女の王国は解散し、広大な草原は民族区として地球連邦のなかに組み入れられた。
族長としての職務はすでにない。
人々も、徐々に流入してくる新しい教育や医療システムに慣れはじめたようである。
親族婚を避け、異部族との混血を認める風潮も少しずつ一般化してきた。
彼女自身、夫としたのは民の規範となるためもあって、その昔いまだ族長であり少女であった彼女のもとに連邦への投降を推めに来た、調停役のその青年だった。
けれど…
暗黒時代が去り世界全体の政(まつりごと)が整って、他部族の侵略の手から護る必要はなくなった、とは云え、神殿そのものが存続を止めたわけではない。
それは、実は、前文明の記録を多く遺した書庫であったのだが、だからこそこれからの時代のためにも役立てなければならなかった。
かつて人々がどのように暮らし、また滅びたものか…
現代(いま)の世にあってそれを伝説以外に正しく知る者はいない。
" 神殿 "と名付けてまで後の世に正しく伝えようとした、先人の意向を葬ることはできない。
斎姫としての後を継ぐべき、直系の娘が必要だった。
暗黒時代が去り世界全体の政(まつりごと)が整って、" 神殿を護る民 "(アイン・ヌウマ)の必要存在理由が無くなったからと言って、神殿そのものが消えたわけではない。
古(いにしえ)の予言はまだまだ終わらない。
斎姫としての後を継ぐべき、直系の娘が必要だった。
だからこそ彼女は周囲中の反対を押し切ってまで古来のしきたりにのっとって長女をこの世に出し…
しかしその赤児を目にすると一言つぶやいた。
「…違うわ、この子ではない。」
それは、異民族である父親の血の方を濃く受け継いだ、茶色い髪、茶色い瞳の、おだやかな大人しい、優しい娘…。
斎姫の後裔たるもの、彼女と同じ部族特有の色素能力を、持っていなければならない。
そして彼女は医者の言いつけを故意に破り、いま、二人目の娘が、胎内にあって六ヶ月の半ばになる。
「…また、お祈りかい、冴夢(サエム)。」
彼女の長い長い淡灰色の髪に、男の指がからまる。
いつの間にか、静かに彼女の夫が入ってきていたようだ。
「あまり根をつめるのは良くない。…薬の時間だよ。」
言われてみればすでに陽は傾き、みごとな残照とともに西の地平の彼方、草原の果てのかすかな山並みへと没し去ろうとしていた。
部屋にはまた夜気を防ぐための電熱が自動で入ったのだろう。
照明の光量も明るく…
草原と谷間の民は気温と太陽の輝きで時刻を体感する。
気づけなかったのも無理はない。
礼を言って彼女は錠剤を受け取った。
心臓の負担を軽くするための薬。
………静かだった。
と、その時、
彼女は無論、知らない筈のことだったが、医師はもってあと一月、と、すでにもう宣告していた。
神事だ古えからの伝統だとか偽って民族区の奥深くへ姿を隠してしまったその前に、彼女の夫たる彼は気がつくべきだったのだ。
戻って来た時には定期健診の眼を逃れた母体は4ヶ月に入っており、彼女は絶対に堕ろさない、と、強い瞳で言い切って見せたが…
あくまでもその気迫に敗けたふりを通した医師達は統一者(リースマリアル)賞ものの演技力と言うべきだろう。
その実、その時点でさえ彼女の体は、もはや中絶手術に耐え得るだけの 体力 抵抗力すら残してはいなかったのだ。
先天奇型の心臓は再び母体となる負担にこたえられる筈がない。
五ヶ月を越えてまだ起きていられる程に元気に見えるのは、ただ単に束の間の奇蹟に過ぎないのだと…
気高い眼差しの異国の妻に笑顔で薬を届けに来た、年上の夫は、しかし甘い夢など視てはいなかった。
星の輝く所すべて彼らの王国
https://www.youtube.com/watch?v=U_IIjHCwp_Y
めぐり逢う星の夜 (Over a Starry Night We Met)
【作業用BGM】猫又ケルトが聴ケルトきいて。
んじゃ。(^^;)
コレは先週で「試合終了」したので…
↓
http://estar.jp/_ofcl_evt_outline?e=151279
『 マンガボックス 原作賞 』
作業用の曲と中味がイマイチ合ってないかも知れませんが、
古原稿「発掘」の続きに戻り鱒よ~☆彡
(やっぱ曲が作業に合わないわ…こっち?)
https://www.youtube.com/watch?v=7X_KcZkRbUg
09 - 冨田勲 - 風になびく大草原の笛
===============
(エスパッションシリーズ・番外)
未来伝承
by 遠野真谷人
それは、正体不明の一隻の航宙船が地球系連邦(テラザニア)の辺境星域へと出現(ワープアウト)した、その日…
まだこの高地平原では浅い春の、やわらかい陽射しを浴びるサンルームで、彼女は表へ出ることもかなわず揺り椅子に縛りつけられていた。
手には祈り像。しかし何を未来視(さきみ)したいというのでもない。
ただ、書を読むことすら医療師に禁じられた生活にあっては、漠然ともの想い、信仰する自然の諸神に一族と、そして他の民をもの平安を祈願して暮らす以外、毎日を費(つか)い潰すすべが無いのであった。
ガラス越しに見上げる空は、わずかにかすんで、青い…
かつて二万の民をたばねて神事を司さどった、あの抜けるような蒼天は再び戻りはしないのだ。
周辺諸族の尊崇をも一身に集める斎姫にして族長。
彼女も、いまは病(やまい)おもく文明の庇護の下におかれる、力弱い一人の女性に過ぎなかった。
澄んで冷たい、黄金色の草原の風が。
揺り椅子のなかでわずかに上体をかしげる。
二人目の子を身籠った。けれどその体は驚くほど肉が落ちて、細い。
元来が長女を産んだ時にも無理だと言われた。一族特有の頑固な不妊傾向は繰り返されてきた親族婚のため。その族長をも、むしろ純血種であるが故にこそ、見逃す筈がない。
その、閉鎖性、排他性に民族としての先細りの将来を見越したからこそ、彼女は長(おさ)として部族の解散を宣言したのである。
もはや掠奪の手から神殿を護るべき、暗黒時代ではなくなった…と。
予言と、彼女自身の意志の力により。
最終戦争と呼ばれる前文明の崩壊からようやく一千年の月日が流れ。世界は再び、星々へ向かってさえその束ねられた一本の腕を伸ばそうとしていた。
表向き、彼女の部族、彼女の王国は解散し、広大な草原は民族区として地球連邦のなかに組み入れられた。
族長としての職務はすでにない。
人々も、徐々に流入してくる新しい教育や医療システムに慣れはじめたようである。
親族婚を避け、異部族との混血を認める風潮も少しずつ一般化してきた。
彼女自身、夫としたのは民の規範となるためもあって、その昔いまだ族長であり少女であった彼女のもとに連邦への投降を推めに来た、調停役のその青年だった。
けれど…
それは、実は、前文明の記録を多く遺した書庫であったのだが、だからこそこれからの時代のためにも役立てなければならなかった。
かつて人々がどのように暮らし、また滅びたものか…
現代(いま)の世にあってそれを伝説以外に正しく知る者はいない。
" 神殿 "と名付けてまで後の世に正しく伝えようとした、先人の意向を葬ることはできない。
斎姫としての後を継ぐべき、直系の娘が必要だった。
暗黒時代が去り世界全体の政(まつりごと)が整って、" 神殿を護る民 "(アイン・ヌウマ)の
古(いにしえ)の予言はまだまだ終わらない。
斎姫としての後を継ぐべき、直系の娘が必要だった。
だからこそ彼女は周囲中の反対を押し切ってまで古来のしきたりにのっとって長女をこの世に出し…
しかしその赤児を目にすると一言つぶやいた。
「…違うわ、この子ではない。」
それは、異民族である父親の血の方を濃く受け継いだ、茶色い髪、茶色い瞳の、
斎姫の後裔たるもの、彼女と同じ部族特有の
そして彼女は医者の言いつけを故意に破り、いま、二人目の娘が、胎内にあって六ヶ月の半ばになる。
彼女の長い長い淡灰色の髪に、男の指がからまる。
いつの間にか、静かに彼女の夫が入ってきていたようだ。
「あまり根をつめるのは良くない。…薬の時間だよ。」
言われてみればすでに陽は傾き、みごとな残照とともに西の地平の彼方、草原の果てのかすかな山並みへと没し去ろうとしていた。
部屋にはまた夜気を防ぐための電熱が自動で入ったのだろう。
照明の光量も明るく…
草原と谷間の民は気温と太陽の輝きで時刻を体感する。
気づけなかったのも無理はない。
礼を言って彼女は錠剤を受け取った。
心臓の負担を軽くするための薬。
………静かだった。
と、その時、
彼女は無論、知らない筈のことだったが、医師はもってあと一月、と、すでにもう宣告していた。
神事だ古えからの伝統だとか偽って民族区の奥深くへ姿を隠してしまったその前に、彼女の夫たる彼は気がつくべきだったのだ。
戻って来た時には定期健診の眼を逃れた母体は4ヶ月に入っており、彼女は絶対に堕ろさない、と、強い瞳で言い切って見せたが…
あくまでもその気迫に敗けたふりを通した医師達は統一者(リースマリアル)賞ものの演技力と言うべきだろう。
その実、その時点でさえ彼女の体は、もはや中絶手術に耐え得るだけの
先天奇型の心臓は再び母体となる負担にこたえられる筈がない。
五ヶ月を越えてまだ起きていられる程に元気に見えるのは、ただ単に束の間の奇蹟に過ぎないのだと…
気高い眼差しの異国の妻に笑顔で薬を届けに来た、年上の夫は、しかし甘い夢など視てはいなかった。
星の輝く所すべて彼らの王国
https://www.youtube.com/watch?v=U_IIjHCwp_Y
めぐり逢う星の夜 (Over a Starry Night We Met)
コメント
X 百合イスに縛りつけられていた。
O 揺り椅子
…「百合椅子に縛り付け」…って…w(^□^;)w…
どんなえろぷれいですかッ?